EVENT | 2019/03/19

野良猫の耳先がV字にカットされている理由とは? 猫が直面している現実に胸が痛む


耳のカットは不妊手術を受けた目印

街中で見かける野良猫の中には、耳がV字に欠けているものがいる。実はこれ、ケン...

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耳のカットは不妊手術を受けた目印

街中で見かける野良猫の中には、耳がV字に欠けているものがいる。実はこれ、ケンカによるケガや病気によるものではない。これらの猫はみんな、共通の経験があるのだ。

これらの猫は不妊手術を受けており、手術を終えた目印に耳先をV字にカットしていたのだ。カットされた耳の形がさくらの花びらのようであることから、これらの猫は「さくらねこ」と呼ばれている。


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野良猫に不妊治療を施す「さくらねこTNR活動」

日本では年間約1万9000匹もの猫が行政により殺処分されている。しかもその多くが生後まもない子猫だという。このような悲劇をなくし殺処分ゼロを実現するため、公益財団法人「どうぶつ基金」は、これまで全国で猫に不妊手術を行ってきた。施術数は、2022年の3月には222,222匹を超えるほど。

耳をカットするなんて一見残酷なやり方のように思えるが、不妊手術をするため全身麻酔を掛けている最中に行っているため安心だ。出血もほとんどないという。

同法人はこの野良猫に不妊手術を施す活動を、「Trap(捕獲)」「Neuter(不妊手術)」「Return(元に戻す)」の頭文字を取って「さくらねこTNR活動」と呼んでいる。

3月22日は「さくらねこの日」に制定

一代限りの命を健やかに全うさせ、殺処分の減少などに寄与する「さくらねこTNR活動」。これらの活動の甲斐もあり、この事業が始まった2005年当時は年間22万7000匹行われていた猫の殺処分が、2021年は年間1万9000匹まで減少している。

同法人は2019年に、「さくらねこ」の認知度向上のため、3月22日を「さくら・にゃん・にゃん」の語呂合わせで「さくらねこの日」に制定し、日本記念日協会に登録した。

同法人は毎月2222円からの寄付で継続的にこの活動を支援する「さくらねこサポーター」の募集や毎月の寄付、さらにYahoo!ネット募金を通じたTポイントでの寄付も募っている。2000円でオス1匹、4000円でメス1匹の去勢手術が可能だ。

減少しているとはいえ、人間のエゴにより殺処分がまだ行われているという現実がある。小さな命を守ることは、私たちに課せられた急務だ。

2022年11月30日更新(初出は2019年3月19日)

文:岩見旦


公益財団法人「どうぶつ基金」

公益財団法人 どうぶつ基金 活動報告書(2021年度版)

犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(環境省)


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