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米国が「ファーウェイ製品は使うな!」と同盟国に要請。一般ユーザーは買ってもいいの?控えるべき?
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  • 2018.12.05
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米国が「ファーウェイ製品は使うな!」と同盟国に要請。一般ユーザーは買ってもいいの?控えるべき?

Photo By Shutterstock

5G時代に向けて飛躍的な発展を遂げつつある情報通信インフラ。だが、その影で世界中を巻き込んだ米中の覇権争いが展開されている。米国はなぜ、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ:Huawei)」の製品にはサイバー安全保障上のリスクがあると同盟国に採用しないよう要請しているのだろうか。また、一般ユーザーがHuawei製品を利用する際には、何らかのリスクがあるのだろうか。

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。

Huawei製品に「サイバー安全保障上のリスクがある」とする根拠は?

米ウオール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、米国政府はサイバー安全保障上のリスクになるとして、ファーウェイの製品を採用しないよう、日本やドイツ、イタリアなどの同盟諸国に対し要請を行ったという。もし賛同すれば、その国に対して通信分野における財政支援の拡大も検討されるようだ。

ファーウェイといえば、スマートフォンの世界シェアで2位だったAppleを抜き、トップの韓国サムスン電子(Samsun Electronics)に迫る勢いであることが話題になったばかり。コストパフォーマンスが高いことで知られ、世界中に多くのユーザーを持つ有名メーカーが、「安全保障上のリスク」になるという米国政府の主張に疑問を感じた人も少なくないことだろう。

だが、実は米国がファーウェイ製品を警戒する動きは、かなり以前からあった。

2012年には、米連邦議会が中国通信機器大手の2社(ファーウェイとZTE)に関する報告書を作成し、米国の安全保障上の脅威になると警告。2014年には、同国の政府機関などでファーウェイ製品の使用を禁止する措置を講じている。

なぜファーウェイが名指しなのか。その理由の1つといわれるのが、同社の設立者が中国人民解放軍の研究部門の出身で、共産党との関係も深いこととされる。また、米国政府や軍、企業から多くの機密情報や知的財産を盗んだ大規模なサイバー攻撃の背後にも中国の存在があったとみられており、同社の製品が攻撃に利用されることを警戒しているようだ。

5G時代の到来に危機感を募らせる米国

このタイミングで、米国政府がファーウェイ製品の採用を控えるように要請したのにはワケがある。いま、世界のモバイル通信インフラが、ちょうど4Gから5Gへと置き換えられようとしているからだ。

現在利用されている4Gの100倍もの通信速度を実現するといわれる5Gの導入が進めば、自動運転車をはじめとする膨大なIoT機器の利用が加速することが期待されており、社会全体におけるモバイル通信インフラの担う役割は飛躍的に増大するとみられている。もし、その重要な情報通信基盤が攻撃を受け、悪用されたり、機能停止に陥れば、その影響は計り知れない。また、同盟国間における通信が傍受され、機密情報が漏洩することも懸念される。

にもかかわらず、ファーウェイなどの中国製品はコストパフォーマンスの高さを武器に、5G関連製品において高いシェアを獲得している。いまや性能面・品質面でも、米国やその同盟国の製品と遜色ないレベルに達しているのに安いのだから、人気を得るのも当然だ。

米国としては、国内および同盟国において、次世代ネットワーク基板となる5Gの通信インフラから、トロイの木馬やセキュリティホールに豹変する恐れのある中国製品を排除しておきたいのだろう。

ファーウェイ以外の中国製品を警戒する声も

ファーウェイ製品以外にも、中国製の通信機器やIT関連製品などには、スパイ行為に利用できるようなパーツやソフトが密かに組み込まれているのではないかと疑う声は以前からあった。

今年10月には、中国企業が悪意ある目的でマイクロチップをサーバ向けマザーボードに潜ませ、ハッキング攻撃を行っていた疑いがあると米ブルームバーグ誌が報じている。マイクロチップが埋め込まれたとされたのは、マザーボードの大手サプライヤーであるSuper Microの製品で、同製品はAmazonやAppleを含む30社近くの企業に納入されていたという。

だがAmazonやAppleはこれらの報道を否定。米国の国土安全保障省や英国の国家サイバーセキュリティセンターも両社の主張を支持していることから、実際には、疑わしいマイクロチップもサイバー攻撃もなかったようだ。中国製品に対する安全保障上の懸念の高まりが、誤報を生んでしまうのかもしれない。

Appleと言えば、今夏に報道された元従業員による自動運転に関する企業秘密の盗難事件も思い出される。この事件は、自動運転車向けのソフトウェア/ハードウェア開発に従事していたシャオラン・ザオ被告がAppleを退社し、自動運転技術を開発する中国のXMotorsに転職する際に、企業秘密や知的財産を含む情報に不正にアクセスし取得していたというものだ。ここにも中国の影が見え隠れする。

一般ユーザーがプライベート利用するなら大丈夫

ファーウェイというと、これまでは価格競争力に優れた低価格帯の製品で人気を得てきたが、最近では世界初のLeicaトリプルカメラを搭載したスマートフォン「P20」のように、他にはない魅力を有する製品も登場。ファーウェイ製スマホでないと嫌だと指名買いするファンも出てきている。

テレビではファーウェイ製品のコマーシャルが頻繁に放送されているのに、米国はサイバー安全保障上のリスクになるので使うべきではないと同盟国に呼びかけているというのだから、判断に迷う人が出て当然だが、そんなに神経質になる必要はないだろう。

ただ、「中国ファーウエイ製品をめぐる毀誉褒貶、そして利用規約を巡る謎」という山本一郎氏の記事が指摘するように、ユーザーの個人データの利用に関する規約に不透明な部分があるのでそこは注意しておきたい。

関連記事:中国でのドルガバ炎上で注目すべき「SNS運用ミス」以外の側面。「社会信用システム」が完成してからは愛国心もスコア化される?
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