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VTuberの「元祖」を手掛けて20年超。CGはリアルタイムの夢を見るか?【連載】デジハリ杉山学長のデジタル・ジャーニー(4)
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  • 2018.11.29
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VTuberの「元祖」を手掛けて20年超。CGはリアルタイムの夢を見るか?【連載】デジハリ杉山学長のデジタル・ジャーニー(4)

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デジタル・テクノロジーの道なき道を切り拓いてきた、デジタルハリウッド大学学長・杉山知之さん。先達ならではの目線で最先端の技術を語る第4回は、デジハリの“お家芸”のひとつとも言えるCGやVFXといった映像技術の未来がテーマ。

Vtuberが流行する遥か前、バーチャルアイドルを手がけた杉山さん。CGとインタラクティブ技術の祭典「シーグラフアジア 2018」の東京開催(12月4日~7日)も目前に控え、留まることを知らない杉山節が冴える!

杉山知之

デジタルハリウッド大学 学長/工学博士

1954年東京都生まれ。87年よりMITメディア・ラボ客員研究員として3年間活動。90年国際メディア研究財団・主任研究員、93年 日本大学短期大学部専任講師を経て、94年10月 デジタルハリウッド設立。2004年日本初の株式会社立「デジタルハリウッド大学院」を開学。翌年、「デジタルハリウッド大学」を開学し、現在、同大学・大学院・スクールの学長を務めている。2011年9月、上海音楽学院(中国)との 合作学部「デジタルメディア芸術学院」を設立、同学院の学院長に就任。VRコンソーシアム理事、ロケーションベースVR協会監事、超教育協会評議員を務め、また福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議会長、内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ強化専門調査会委員など多くの委員を歴任。99年度デジタルメディア協会AMDアワード・功労賞受賞。著書は「クール・ジャパン 世界が買いたがる日本」(祥伝社)、「クリエイター・スピリットとは何か?」※最新刊(ちくまプリマー新書)ほか。

構成:宮田文久 写真:神保勇揮

「リアル」な映像は、実写に追いついた

CGにしてもVFXにしても、もはや実写と区別がつかないまでに、テクノロジーは発展してきました。たとえば自動車のCMでは、美しいフォルムで車が走っていきますよね。私たちはその「リアル」な流麗さに、実写だと思いがちですが、よく考えてみればボディやガラスにカメラマンは映り込んでいません。見事に走行するあの車は、CGによって作り上げられているわけです。

デジタルハリウッド卒業生の中でも、ピクサーやILM(インダストリアル・ライト&マジック)といったような、CGやVFXにおいて世界の最先端をゆくスタジオにたどりつく出身者が何人も出てきました。彼らをロールモデルとしながら、「自分もいつかは」と思って頑張っている在校生もいます。

そうした若い子たちは、私たちが『スターウォーズ』シリーズでSFXに憧れたように、『トランスフォーマー』シリーズを観ていて、ああいうものを作りたいと思っている。時代の表現は次々と移り変わっているのだと、彼らを見ていて日々実感しています。

最高峰のスタジオが手掛ける映画を観ていると、どんどんとスピーディーに移り変わる画面に目を奪われますが、あの1カット1カットを、クリエイターたちは本当に精密に作り込んでいます。私は1つのシーンで180枚という途方もない数のCGレイヤーを重ねているものを見させてもらったことがありますが、いわばハイエンドの映像技術は、すさまじいリアリティと精度に行きついている、と感じますね。

VTuberの祖先?バーチャルアイドル・伊達杏子を作った日々

他方で私は、これからの映像技術は、「リアルタイム」をどう達成するのか、というフェーズにも入っていると感じています。

その例として面白いのが、最近流行しているVTuber(バーチャルYouTuber)です。主なものは、見た目がCGで作り上げられた理想の美少女、といったようなもので、動画配信などで視聴者とコミュニケーションをとり、盛り上がっています。そのCGを作り上げているクリエイターがいて、かわいい声を当てている声優の卵のような人がいるわけですが、あれが究極的に志向しているのは、リアルタイムでのコミュニケーションでしょう。

VTuberを見ていて思い出すのが、私も開発に参加し、1996年に世に出たバーチャルアイドル・伊達杏子です。

芸能プロダクションのホリプロに所属するバーチャルアイドルという、VTuberの現状を見ても先駆的な存在だった伊達杏子ですが、当時もどうやってバーチャルアイドルを作り上げていくか、様々な議論を行いました。ダンスを踊らせるにあたっては、マイケル・ジャクソンのバックで踊っている女性をキャプチャーして、喋りや歌にかんしては、それぞれ上手なホリプロのタレントさんに担ってもらいました。

つまり、CGも合わせ、複数人の才能が集まって一人のバーチャルアイドルとして作り上げられていったということです。まさにVTuber的でしょう?VTuberを見ていると、あの当時のことがまざまざと思い起こされます。

「リアル」から「リアルタイム」へ

伊達杏子にも夢中になってくれた人がいたし、そこからさらに技術が発展したVTuberもブームになっている。今後、その場のコミュニケーションに生身の人間が関わらず、AIが駆動させるバーチャルアイドルの時代になったとしても、人々はきっと声援を送ることでしょう。

そこで課題となるのが、やはり「リアルタイム」という問題なのです。先述したように、ほぼ実写のように見えるハイエンドの映像技術は、お金と手間暇さえかければ作れるようになってきた。いわば、「リアル」の達成ですね。

そこからさらに、実写のように見える「リアルタイム」のハイエンド、という未来があるはずです。即時のコミュニケーションに必要な計算も、やってしまえるのではないか――そうした夢の映像技術の途上に、VTuberはいるような気がします。

本物の人間のように、リアルタイムでコミュニケーションが取れるアイドルが、これから生まれてくるかもしれない。VRのヘッドマウントディスプレイをセットにして、たとえば握手ができるというような触覚的な感触も与えてあげれば、実写とCGの区別がつかなくなったように「目の前にアイドルがいる」ということが起こりえるでしょう。

そうしたアイドルが持つ意義や社会的な影響という論点は、また別にあるでしょう。少なくとも、デジタル技術による映像が夢見てきた「リアル」を突き抜けて、時代はすでに「リアルタイム」へと急速に動いている、と私は感じています。


次回の公開は12月30日頃です。

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