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レビューもFake!ニュースもFake!写真もFake!生活のあらゆるシーンで、私たちは「フェイク」と向き合わねばならなくなってきた。
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  • 2018.10.24
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レビューもFake!ニュースもFake!写真もFake!生活のあらゆるシーンで、私たちは「フェイク」と向き合わねばならなくなってきた。

Photo By Shutterstock

いま、世の中には「フェイク」が溢れている。「女優のAさんは整形したそうだ」、「B社の○○を飲むと必ず痩せるらしい」、「CさんとDさんは不倫しているんだって」、「Eさんの息子さんは裏口入学という噂だよ」……SNSを流れてきた偽情報に惑わされ、嫌な思いをしたことのある人も少なくないのではなかろうか。社会の情報化が進展することで、人を惑わすフェイク情報の影響力はますます高まっている。騙されないためにはどうすればいいのだろうか?

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。

オンライン・ショップ利用者を惑わす「フェイク・レビュー」

Amazonや楽天などのオンライン・ショップを利用する者の多くが、商品を選ぶ際に参考にしているのが「商品レビュー」だ。特に競合する類似製品がある場合には、その商品を実際に購入し利用しているユーザーの評価を参考にする場合が多い。

そんな消費者心理につけ込むように、ニセの評価をつける「フェイク・レビュー」が横行するようになった。

実際の商品の品質や機能とは関係なく、高評価をつけて販売会社やメーカーから見返りを得る。人気の高い競合製品に根拠のない低評価をつけて評判を落とし、自社製品の売り上げに繋げる。

ニューズウィーク日本版の記事によると、このようなフェイク・レビューを投稿する者の組織化が進んでいるというから驚かされる。

英国の消費者団体「Which?」は、Facebookのグループ機能を使ってAmazonにフェイク・レビューを投稿しているとされるグループの存在をつかみ、潜入調査を行ったところ、同様のグループが複数あって、最大で87,000人が活動している可能性があることが判明したという。

商品レビュー全体に占めるフェイク・レビューの割合は、1%とも、30%ともいわれており、その実態はいまだ不明のままだ。巧妙化も進んでおり、フェイクを見抜くのは簡単ではない。

では、騙されないためにはどうすればよいのだろうか。

フェイク・レビューの多くは、他のまともなレビューと比較すると極端に評価が高いなど、不自然な内容のものが多い。騙されないためには、なるべく多くのレビューを参照することが大切だ。

文面をコピペしたような類似のレビューが多かったり、一言だけのレビューは疑わしいとされる。また、星1つ、星5つといった両極端の評価が多いこともフェイク・レビューの特徴だという。

選挙結果を左右しかねない「フェイク・ニュース」が横行

米国の大統領選挙で大きな問題となった「フェイク・ニュース」が、日本でも猛威を振るいはじめた。

インターネットを中心にフェイク・ニュースが出回り、有権者の判断を惑わしかねない事態になったとされるのは、9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選挙だ。

問題となったフェイク・ニュースの1つは、「朝日新聞の9月1、2日の世論調査によると、立候補予定者のうち玉城デニー氏への支持が52%、佐喜真淳氏への支持が26%。ダブルスコアだ」というもの。しかし、朝日新聞によると、その時点では世論調査をしていないという。

このほかにも、沖縄振興一括交付金の導入にいたる取り組みへの玉城氏の関与を、公明党の遠山氏が嘘だと指摘し、関与に関する表現で互いにフェイクだと批判し合う事態なども発生。複数のフェイク・ニュースが飛び交うことで、ファクトチェックの重要性が指摘された。

このような事態を受け、琉球新報はNPO法人「ファクトチェック・イニシアチブ」へ参加し、インターネット上で出回る情報のファクトチェック(真偽検証)を掲載するなど、新聞等のメディアもフェイク・ニュースへの警戒を強めている。

有権者1人1人が行う対策としては、インターネット上で流布される情報の真偽を確かめるべく情報のおおもととなる一次情報を探す、情報の裏取りがなされた信頼できるメディアの情報を信じることなどが考えられる。

見破るのが困難な「フェイク写真・動画」をAIが創造

AIによる画像イメージの生成力が飛躍的に発展していることも、人々を惑わすフェイク情報の氾濫に繋がりそうだと懸念されている。

Forbes JAPANの記事によると、AIが生成する画像が、開発者も見抜けないレベルにまで高度化しているというのだ。

英ヘリオット・ワット大学の博士課程の学生Andrew Brock氏は、グーグル・ディープマインドの研究チームとともに、本物と区別がつかないほどの精巧な犬や蝶、自然物などの画像を生み出すAI「BigGAN」を開発した。

このAIは、「騙すAI」と「見抜くAI」を競争させることで、より本物に近い対象を生み出す「敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks)」をベースにしたものだという。

すでにネット上には、有名女優の顔をポルノ女優の身体と組み合わせた画像など、多数のAIを活用したフェイク画像が出回っているが、これは、さらにその上をゆく出来映えのようだ。

その画像生成能力は、開発者自身も、どれが本物で、どれが生成された画像かを見抜けないほどだというから、近い将来には、写真や動画を裁判等の証拠に使うことが出来なくなってしまう恐れがある。

AIが生成した画像により、ありもしない犯罪の証拠がでっち上げられ、身に覚えの無い罪に問われることが無いよう、フェイクを見抜くAIの能力が、騙すAIの能力を常に上回っていて欲しいものだ。

このように、私たちは生活のあらゆるシーンで「フェイク」と向き合わねばならなくなってきた。政府・企業・個人など、あらゆる階層でフェイクへの対応策を模索していく必要がありそうだ。


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