EVENT | 2023/04/24

「世界最高クラスのデジタル体験」を可能にする5つの条件。そのために必須の「データ分析」はいかにして可能か

ウェブサイト、ECサイト、アプリなどの顧客体験を分析するサービスを提供するContentsquare(コンテンツスクエア...

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ウェブサイト、ECサイト、アプリなどの顧客体験を分析するサービスを提供するContentsquare(コンテンツスクエア)は、デジタル顧客体験(CX)の最適化に取り組む実践者たちが登壇するカンファレンス「CX Cicrle Tokyo 2022」を2022年11月に開催。「デジタル世界の接点において、どうすれば顧客に愛される素晴らしい体験を提供できるのか」をテーマに、業界の識者たちが講演やパネルディスカッションを行った。

今回はContentsquare Japanから記事提供をいただくかたちで、同カンファレンスの書き起こし記事を掲載する(全6回中の2回目)。

本記事では、コンテンツスクエアAPJ地域担当、Senior Vice Presidentのアルバート・ネル氏が「オスカー級のデジタル体験を創るには?」というテーマで、デジタルエクスペリエンスの重要性やWebアナリティクスの活用について解説する。

なお、コンテンツスクエアは2023年6月28日(水)に神田明神ホールにて「CX Circle Tokyo 2023」を開催する。キューサイ、三井住友カード、freeeなど各業界のデジタルリーダーが登壇し、顧客を満足させるための戦略や施策を共有。参加者同士がつながるためのアフターパーティも予定している。(参加登録はこちら

「オスカー級の体験」が持つ特徴とは何か

ここでは「オスカー」、つまりアカデミー賞を受賞するのと同じくらい価値がある「アカデミー賞級のエクスペリエンスを創っていくには?」ということについてお話します。

まず、オスカー級の映画を撮るためには一体どのような要素が必要なのか考えてみましょう。歴史上、優れた映画を振り返ってみると、どの映画にも共通する特徴が見られます。トップクラスの質の高い演技はもちろんのこと、独自性が非常に強く、さらに感情に訴えかけ、人と人とのつながりを表現しているなどが挙げられます。

オスカー級の体験の例①:空港の通関業務

続いて、これらの特徴を私たちの日常生活になぞらえて考えてみましょう。日常生活の中にオスカー級の体験を創るには、どのようなアクションが必要なのでしょうか。9カ月ほど前から出張を再開し、世界のさまざまな国際空港を巡る中で、気が付いた点がいくつかあります。

近年、世界の多くの空港では、入国審査や通関に必要なパスポートなどの書類確認を、全てスキャンで済ませられるようになっています。これは非常に迅速なプロセスで、空港を出てタクシーに乗るため列に並ぶ時間よりも、はるかに短い時間で入国審査などが完了します。これは、まさに「オスカー級の体験」と呼んでもよいのではないでしょうか。

オスカー級の体験の例②:テスラの乗車体験

続いて、テスラの例を考えてみましょう。テスラという電気自動車メーカーは、「気候変動への対策を進める」というミッションを掲げています。実際にテスラ車の内部を見てみると、車に関する情報は全てタッチスクリーンに表示されるなどユーザー体験として優れた環境が提供されています。また、気候変動に配慮した機能だけでなく、快適な乗車体験をアシストするため、超高速の処理能力も備えています。

このように、メーカーとしてのミッションを達成するだけでなく、「車に乗る」という行為そのものについても、大変高いレベルのエクスペリエンスとしてエンゲージメントを提供しているといえます。テスラが提供する乗車体験も、「オスカー級の体験」と言えるのではないでしょうか。

デジタルの世界におけるオスカー級の顧客体験

続いてデジタルの世界に目を向けてみましょう。デジタルといっても、Webだけの体験ではなく、モバイル、あるいはアプリケーションを使うときの体験も含めて考えていきます。

オスカーを受賞するに値するようなデジタルエクスペリエンスの要素について、以下の5つに分類してみました。

・エラーを最小限に
・読み込み時間を最小化
・つまずきのないユーザージャーニー
・高いエンゲージメント+パーソナライズされたコンテンツ
・直感的なUI/UX

現在、コロナ禍で世界が大きく変化しており、あらゆる人がオンラインを活用する時代になっています。このような状況において、オンライン体験が充実した現代を生きる顧客は、どのような体験を期待しているのかという要素を考えてみます。すると、まずエラーが最小限であるということが挙げられます。

続いて、コンテンツのイメージレベルが想像以上に高いことも重要な体験の一つです。顧客としっかり関われるようなコンテンツを提供することが重要であり、顧客はそのコンテンツを体験するときにどのような振る舞いをするのか、どのようにそのコンテンツを使っていくのかという部分まで深く考慮されていることを期待しています。

そういった意味では、製品を提供するブランドは、自社のブランドイメージにも責任を持たなければなりません。顧客がブランドに対してどのような期待を抱き、何を求めているのかをブランド側が十分に理解し、エンゲージメントを深めていく必要があります。

デジタルエクスペリエンスにおけるWebアナリティクスツールの重要性

このような課題に対応していくには、単純に製品サービスのクオリティが高ければよいというわけではありません。前述の通り「オスカー級のデジタルエクスペリエンス」を顧客に提供する必要があります。各ブランドのUX・UIのデザイナーは、専門家チームとともに、顧客に最高のエクスペリエンスを提供するため、日々さまざまな工夫をされていることでしょう。

顧客のオンライン体験を洗練されたものにしようと、企業はさまざまな工夫をしています。完璧な顧客体験を目指してカスタマージャーニーを策定し、理想の体験を提供しようと努力していることでしょう。

しかし、実際には顧客自らが製品の使い方を考え、私たちには予想できない新たな体験を創っていくケースもあります。例えば、工夫を凝らして1台の滑り台を完成させたとしても、その横で顧客が自ら楽しく滑るというような、製造側が想定していなかった意外な楽しみ方をすることもあるのです。

このように、決して製造側の意図通りにはならない環境の中で、コンテンツスクエアではこの20年間、Webアナリティクスツールを活用したデータ分析が非常に重要な役割を果たすと考えてきました。

従来型のWebアナリティクスツールでは「何が起こったのか」ということしか把握できませんでした。例えば、あるページから顧客が商品を購入したとして、「何が購入されたか」という事実は明らかにできます。しかし、その背後にある「なぜ購入したのか」という理由までは、明らかにできないという課題がありました。

コンテンツスクエアが提供する「ファネル全体を網羅したデータ分析」

このような状況下で「なぜ顧客がそのような行動を取ったのか」という理由まで把握できるのが、コンテンツスクエアの真価であり役割です。

実店舗であれば、店内に入ってきた顧客に店員が直接対応する中で、ボディランゲージや表情などから、好みや関心を読み取れます。しかし、オンラインの世界においては、販売する側は顧客の行動の理由に関して情報を得る手段がなく、全く状況が見えないといえるでしょう。 

「なぜ顧客がそのような行動を取るのか」という理由を具体的に理解するには、デジタルエクスペリエンスの分析が必要です。デジタルの世界でオスカー級のエクスペリエンスを創っていくには、「データドリブンなデジタル主体の意思決定」を活用していかなければなりません。このような状況において、コンテントスクエアは15兆のデータポイントを持っています。

マウスのクリックやスクロールの状態、マウスオーバーの状態、さらにスワイプの状態など、さまざまな挙動を把握できます。

このようなデータを分析・活用することで、カスタマージャーニーへの深い理解を得られるようになります。顧客がWebサイトやアプリケーションでどのようにエンゲージメントしているのかということを、コンバージョンの情報とともに把握できるのです。

また、セッションのリプレイを組み合わせたインサイトのダイレクトによって、ユーザーエクスペリエンスが明確になります。AIや機械学習なども併用することで、インサイトの提供が自動化されます。

コンテンツスクエアは、ファネル全体を網羅できる唯一のツールです。マーケティングが重要視される現代においては、似たような機能を持つツールはほかにも数多くありますが、そのどれもがカスタマージャーニーのパネルの一部分にフォーカスしたものです。全ての要素を網羅しているのは、コンテンツスクエアだけの特徴といえます。

顧客は、最初にWebサイトにランディングしてからカスタマージャーニー全体にわたって、どのような要素を高く評価しているのか、また、具体的に何をすればランディングした顧客に商品を購入してもらえるのか、しっかり理解できる網羅性を兼ね備えています。

デジタルエクスペリエンスが重要視されている理由とは?

近年、デジタルエクスペリエンスを分析するアナリティクスの重要性が非常に高まっている理由を示すものとして、Forrester社のデータをご紹介します。同社では、過去4年間にわたり、ブランドのデジタル成熟度を追跡調査しています。

データの左部分は、Webアナリティクスを使い始めたばかりの「初期段階」を指します。中央は「中間層」で、Webアナリティクスを使い始めてから、デジタル体験分析やWebアナリティクスツールの最適化や実験などを通して、データドリブンな意思決定をし始めている企業が該当します。

右側は、高度に成熟したレベルでアナリティクスを活用している「先駆者」のグループです。このレベルに該当するのは、全体の7%の企業に限られます。 先駆者に該当する企業は、データサイエンスやデータインテリジェンスをベースとして、ゼロから技術開発やサービス開発、アプリケーション開発などを行っています。

この4年間の追跡調査の中で、高度なレベルの企業については、それほど大きな変化はありませんでした。しかし、初期段階と中間層の企業については、非常に大きな変化を見せています。この結果によって、多くの企業がデジタル主体の意思決定を始めており、顧客体験の充実やDX(デジタルトランスフォーメーション)の実行が進んできている段階にあると考えられます。

この図でいうところの「中間層」の部分に多くの企業が移行してきており、各企業はアナリティクスの採用をどんどん進めていくべき段階にきているといえます。

また、こちらもForrester社のデータです。2023年の段階では、84%の企業が実際にDXA(デジタル体験分析)を実行したいとの意向を持っています。

この3年間の推移を見ていただくとよくわかるのですが、DXAを活用しようという意識がどんどん高まってきております。

いまこそデジタル体験分析の世界へ踏み出し、顧客の意思を知るとき

これまで説明してきたように、いまこそ、デジタル体験分析の世界への一歩を踏み出し、未来の探索を始めるべき時期にきているのではないでしょうか。企業が抱えるユーザーや顧客は、一人一人がユニークな存在です。その一人一人がどのような意図を持ってクリックしてくれるのか、何を好んでいるのかということを知るべきときが訪れています。

【お知らせ】
コンテンツスクエアは、2023年6月28日(水)に「CX Circle Tokyo 2023」を開催します。「和」×「デジタルの未来」をテーマに、神田明神ホールにて各業界のリーダーがリブランディング戦略や顧客体験向上に成功した施策を語ります。アフターパーティーでは和を感じられる演出、フィンガーフードと屋台メニュー、ここでしか配らないお土産などで参加者の皆さまをもてなします。
顧客戦略に携わるブランド運営企業の方は、ご同僚をお誘いの上、ぜひこちらからご参加登録ください。


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