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EVENT | 2023/02/24

経産省「Jイノベ」関連シンポジウムが3/2に開催。「産学融合」で最先端研究を行う5拠点が登壇

大石知広氏(経済産業省 大学連携推進室 室長)
文:神保勇揮(FINDERS編集部)
民間企業との連携に本気で取り組...

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大石知広氏(経済産業省 大学連携推進室 室長)

文:神保勇揮(FINDERS編集部)

民間企業との連携に本気で取り組む5つの研究拠点が活動内容を紹介

経済産業省が展開する「地域オープンイノベーション拠点選抜制度(J-Innovation HUB:Jイノベ)」事業に関する公開シンポジウム「最先端研究×産学融合で日本を変える!Jイノベの挑戦~産学融合から社会実装へ~」が3月2日にオンラインで開催される。参加費は無料で事前登録が必須。登録すると参加用URLが送られる。

地域オープンイノベーション拠点選抜制度(J-Innovation HUB:Jイノベ)は2020年度(令和2年度)からスタートしたもので、大学や高専、あるいはそれに準ずる研究機関で、地域企業などとの産学連携やオープンイノベーションの機能および実績を有する拠点を選抜し、経産省が拠点の信用力を高め支援を集中させることでトップ層の引き上げを促すもの。また、研究機関同士、そして企業とのマッチングや拠点広報などの支援も行っている。

ちなみに関連した取り組みとして「産学融合先導モデル拠点創出プログラム(J-NEXUS)」も行われており、こちらは広域な地域単位の社会課題を解決するためのモデル拠点構築を目指す拠点を公募し、採択された事業に補助金を給付するとともに当該拠点の広報支援などを行っている。

今回のJイノベ公開シンポジウムでは以下の5拠点および、経産省の大石知広氏(大学連携推進室 室長)がパネルディスカッションに登壇。「産学融合の方向性~産学融合から社会実装へ~」というテーマで語り合う。

・東北大学 国際集積エレクトロニクス研究開発センター
・北陸先端科学技術大学院大学 未来創造イノベーション推進本部
・名古屋工業大学 産学官金連携機構
・神戸大学 先端膜工学研究センター
・広島大学 ナノデバイス研究所

今回、先述の経産省・大石氏および、同じく大学連携推進室で本事業を担当する開田千晴氏に本事業やイベントの意義をうかがったので、その内容もお届けする。

産学連携の重要性自体は叫ばれて久しいが、近年だけでもSDGs、DX、WEB3など新たな対応が求められる一大テーマが次々と現れ、また技術発展により改善・解決のための具体案も現実味を帯びてきたプランも多数ある。

だがそれらを、いち企業、いち大学単体で実現させるのは困難であり、だからこそ産学連携(近年では産学金官連携とも言われる)やオープンイノベーションの取り組みが各所で進んでいるわけだが、それらの取り組みをより円滑に進めるためのハブ役を経産省が担うというのが本事業のキモである。

2022年度(令和4年度)は全国で全27拠点が認定されているが、上記のシンポジウム登壇拠点の顔ぶれからもわかる通り、基本的には製造業を中心とした広義の“実業”に関連する分野の研究機関(基礎研究から社会実装まで)が大半だ。

大石氏はJイノベ事業を始めるに至った問題意識をこのように語る。

「産学連携事例の統計を見ると、1事例あたりの予算が200〜300万円にも満たないケースが8割に上ります。これではさすがに安すぎる。企業が本気で社会実装に取り組む案件としては、少なくとも1000万円くらいは欲しいところですが、それは全体の5%程度です」

各研究機関のメンバーたちは自身の専門分野に関する企業の動向は当然理解しており、また企業との共同研究などのモチベーションが低いわけでもないが、逆に大石氏が企業の産学連携担当者に話を聞くと「大学の統一的な窓口がない場合も多く連絡がうまく取れないこともあり、契約書の雛形や規約整備が十分でなくやりにくい」と感じたケースが多々あったという。

しかし全ての大学・研究機関がそうなっているわけではなく、むしろ近年は「産学連携本部」のような部門を新設し推進しているところも多いのだが、まだ十分に浸透しているとは言い難い状況だ。そのため今回のシンポジウムも、アカデミアだけでなく企業に対して取り組みの積極的なアピールを行っていきたい狙いもあるとする。

大石氏・開田氏はイベントの意気込みをこのように語る。自社の事業に関連しそうな「ネタ」を探している人は、ぜひ参加してみてほしい。

「激変するビジネス環境に対応していくための産学連携は単なる共同研究に留まらず、企業の経営方針と密接に連動し、何を目指すかという問いの部分から関わることが重要になってきています。その意味では、産学連携を超えた産学“融合”が求められる時代と言えるかもしれません。そのためには大学をまたいででもベスト・アンド・ブライテストな先生方をコーディネートする必要もあり、経産省として汗をかいていきたいと思っています。『大学は敷居が高い』と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、Jイノベで認定される研究機関に所属する先生たちは皆モチベーションが高く、実際に現場の話を聞いていただければイメージも大きく変わるはずです。企業の皆様も、社内で長年眠ってしまっているデータなど多々あるはず。ぜひ参加していただき『最近の大学は面白いことをやっているんだ』と感じてほしいです」(大石氏)

開田千晴氏(経済産業省 大学連携推進室)

「各拠点とも非常に高い研究力、ポテンシャルを持っていますので、経産省として引き続き伴走していきたいと考えております。毎年秋〜冬の時期に選抜された拠点同士の交流会も行っており、そこでは大学の枠を超えて『外部資金獲得や人材育成をいかに行うか』といった議論も積極的に行われています。技術と技術をかけ合わせた、新しい素材や製品、サービスなどの開発実績も年々増えており、ぜひより多くの人に参加いただきたいです」(開田氏)