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北京五輪を目前に控えた中国「本気のゼロコロナ政策」を注視すべき5つの理由【連載】中国ウォッチ・ナウ!(4)
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  • 2022.02.02
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北京五輪を目前に控えた中国「本気のゼロコロナ政策」を注視すべき5つの理由【連載】中国ウォッチ・ナウ!(4)

香港大学深セン病院にて新型コロナワクチン(シノファーム)を接種する深セン市在住の日本人インフルエンサー、東野万美さん

「中国のコロナ感染者数はどうせごまかしてるんでしょ?」

2月4日から始まる北京五輪と共に報道される、中国国内のコロナ対策を見てそのように感じる方は多いが、実際のところはどうなのか?現地では具体的にどのようなことが行われているのかを知ると、見方が少し変わるかもしれない。

この記事では、中国のゼロコロナ政策を注視すべき5つの点を取り上げる。以下の点をご覧になると中国のコロナ対策は日本の感覚と根本から異なり、トップダウンで徹底していることがお分かりいただけるかと思う。

荒木大地

Shenzhen Fan Founder

深セン最大級の日本人情報サイト深セン最大級の日本人情報サイト「深セン ファン」(www.shenzhen-fan.com)管理人。 Webエンジニア兼ライター、また講師として中国・テック関係の情報を発信中。合計3000を超えるメンバーを抱える中国各地の渡航情報共有グループチャットの運営も行っている。
Twitter : @daichiaraki

理由1:対策を誤ると首が飛ぶ

中国のコロナ対策におけるオペレーションは省・市などの地方政府に委ねられている節があるが、地方で対策を誤ると役人の首が飛ぶ。例えば2021年7月に南京市の国際空港からデルタ株のクラスターが発生し、中国国内に拡大してしまったが、これは空港の防疫・監督指導がずさんだったとして市の衛生委員会副主任などの幹部クラスが次々と戒告・解任処分を受けた。

また、北京五輪間近の2022年1月に首都防衛策を取っていたにも関わらず市中感染を起こしてしまった原因が輸入コールドチェーン(食品や医薬品などを低温・冷凍のまま流通させる物流方式)の監督管理にあるとして、事業監督者など20名近くが警告・戒告・解任処分を受けている

責任者の処分内容は日本よりもはるかに厳しく、当事者にとっては責任重大なのである。

もちろんこれには光と影の両面があり、各エリア責任者は真剣に感染対策に当たる一方で、リスクを負いたくないがために主な感染ルートとされている、海外からの渡航者に対して長期の隔離を要求するエリアも出てきた。例えば瀋陽市では2021年12月に「28+28」(28日間のホテル集中隔離+28日間の自宅隔離)、合計56日間の隔離が要求されていた。外国から人は来るなと言わんばかりである。さすがにこれはやり過ぎだとの声も上がっていたが…。

理由2:感染者の検出・トレースが半端ない

2022年の中国国内における市中感染者数推移

深セン市で市中感染者の報告があった今年1月、市はすぐさま全市民PCR検査を実施。2000万を超える検体を数日で集めて解析を行った。しかし一度のPCR検査では完全な検出とはならないため何度も何度も実施。陽性者が出たエリアは特に検査の頻度を増やし、それ以外のエリアでも48時間おきに検査をさせる徹底ぶり。深セン在住の知人は3週間の間に合計12回もPCR検査を受けたという。

検査を受けない者にはケータイのSMSなどから直接催促の通知が来る。市民もPCR検査で陰性の証明をもらわないとオフィスやマンションなどの施設に入れなくなってしまうため受けざるを得ない。ここまでやると「もういい加減にしてくれ」という不満の声も上がる。億単位の検査費用がかかるし市民や検査スタッフは疲弊する。数をごまかすならここまで徹底的に行う必要があるだろうか?

深センだけではない。北京やロシアにも近い黒竜江省の一千万人都市ハルビン市では、市中感染者が1ヶ月以上1人も報告されていなかったのに全住民を対象としたPCR検査を1月24日から実施。「ビビり過ぎだ」と批判を浴びながら寒空の中検査を行った結果、陽性者が数名発覚する事態に。なにもしなければ感染ゼロで報告できたのに、そうはしなかったのである。

PCR検査の結果は後日アプリで通知されるが、陽性の場合はすぐにスタッフが来て指定病院に連れていかれる。そして陽性者のいた一帯は封鎖&消毒作業が行われる。

陽性者は発覚すると行動履歴が丸裸にされる。何日の何時何分にどこにどのくらい留まったか、地下鉄の何両目に乗っていたか、その間誰と接触したか、など事細かに調べ上げられ、感染者の行動範囲にいた人は追加でPCR検査を受けるよう要請される。

次ページ 理由3:部分ロックダウンも容赦ない

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