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バーチャル空間を短時間・低コストで構築。「F8VPS」がもたらす“仕事”のDX化で未来の働き方を垣間見る
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  • 2021.12.13
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バーチャル空間を短時間・低コストで構築。「F8VPS」がもたらす“仕事”のDX化で未来の働き方を垣間見る

聞き手・文:武者良太 写真:FINDERS編集部 画像提供:株式会社フォーラムエイト

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向へと変化させる」。2004年、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の定義です。

当時はまだコンピューターや人工知能が人間の仕事を奪うという認識が強かったものの、技術の進化と共にその実像は鮮明に。IDC Japanが2016年に発表した下記の定義により、多くの人が産業構造の変革を理解しやすくなりました。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンス(経験、体験)の変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

また、一般社団法人行政情報システム研究所が2020年に発行した『GDX 行政府における理念と実践』では、「DX」とはユーザー中心=“受益者の視点からサービスを開発・運用”することであり“それがすべて”とも提示されました。「GDX」は行政のDXに焦点を当てたものでしたが、「社内のDX化」を例に考えるとすれば、経営者の都合ではなく、ユーザー、つまり社員の立場からすべてを考え、運用することが求められます。

国内バーチャルプラットフォームの雄「F8VPS」

2020年以降のコロナ禍により、急激に注目度が高まっていった企業のDX化。特に対面コミュニケーションを重視していた企業にとっては、オンラインでも適切な情報を提示しながらのプレゼンテーションが行えるようにと、ZoomやMicrosoft Teamsといったオンラインミーティングツールと共に、バーチャルプラットフォームに注目が集まっていきました。

前者が写真や動画といった平面的な情報を伝えることに適している一方、後者は立体空間や製品を3D CGで作り込むことでバーチャルショールームを展開し、立体的な情報をアピールすることが可能です。複数のブースを備えた大規模なバーチャル展示会も開催できます。社外に向けた催しだけではありません。テレワーク中の社員が集って業務やミーティングができるバーチャルオフィスなどの実装も可能です。

WebGLまたはWebXR APIを用いたバーチャルプラットフォームであれば、専用アプリを必要とせずにPCのみならずスマートフォンのブラウザからもバーチャル空間にアクセスが可能です

このバーチャルプラットフォーム、国内外のメーカーから数々のサービスがリリースされています。そのなかでも今回注目したいのはフォーラムエイト社が提供する「F8VPS」です。

フォーラムエイトは2002年にリリースされた3次元リアルタイムVRソフト「UC-win/Road」をはじめ、古くからまちづくりや土木工事、防災推進等の分野でVR(バーチャルリアリティ)技術を活用してきた企業です。また日本産3DCGソフトとして長い歴史を持つShade3Dを提供している企業でもあります。

今回はそんなフォーラムエイト社にて執行役員/営業サポート管理マネージャの新田純子さん、同じく執行役員/システム営業マネージャであり、ゲーム開発チームリーダを務める松田克巳さんにインタビューを行いました。お二人の話を交えながら、同社が見据える先を見ていきたいと思います。

松田克巳さん(左)、新田純子さん(右)

職人的技術もバーチャルでトレーニング

「F8VPS」はバーチャルオフィス/ルーム/展示会/ショップなど、さまざまなバーチャル空間を構築できるシステム。ミーティングや商談から、研修、作業訓練や業務管理といった要素までカバーできる、バーチャルプラットフォームです。

バーチャルオフィスを例に取ると、リアルなオフィスのレイアウトをそのままバーチャル化して、テレワークをアシスト。PCの前に座っている時は自席にアバターがあり、離席するとアバターが自動で休憩室に移動。複数人で会議室に移動したときは、自動的にビデオ会議機能が有効となる、といった機能が搭載。つまり、リモート体制を維持したまま、リアルに近い、あるいはリアルとは異なる形で、高いコミュニケーション性を実現します。

F8VPSを用いたバーチャルオフィスの様子。誰がどこにいるのか(どういった状態か)ひと目で把握できる

「バーチャルオフィスに出勤すると、勤怠管理のシステムに出勤情報が記録され、給与計算の時にそのデータを活かせます。」(松田さん)

フォーラムエイトが持つ技術資産をF8VPS上で活かすことで、一般的なデスクワーク環境とは異なる業態にも活用可能です。

「F8VPSのリリース前に、ローカルのVRで溶接のトレーニングができるコンテンツを作りました。この知見を活かし、F8VPS上でも様々なトレーニング環境が構築可能です。」(新田さん)

またバーチャルオフィス内を自由に歩き回る機能もあり、話したい人のアバターに近づく・肩を2回叩くと画面共有やチャットウィンドウが開き、ダイレクトなミーティングや雑談ができます。リアルの所作をバーチャルに持ち込むことで、より円滑なコミュニケーションを可能にするのでしょう。

Shade3Dとの連携で短時間・低コストに

興味深いのが、スマートウォッチを活用して体調やメンタルをモニタリングできる機能です。使用するスマートウォッチの機能によりますが、体温、血圧、心拍数をモニタリングしてアバター上に各スタッフの状態を重ねて表示することが可能です。この機能は、工場のような大人数がリアルで作業する場におけるスタッフ管理にも役立つでしょう。

またこういった性質は、Zoomなどのビデオ通話では拾いきれない、対面でのつぶさな観察を必要とするような現場でも効果を発揮するといいます。

「MRゴーグルを用いて、自宅でのテレワーク時でも眼前に同僚や顧客がいるかのように感じられてコミュニケーションできる機能も開発中です」(松田さん)

「カウンセリングをする際はクライアントさんの表情から、理解・納得しているかどうかを判断しながら説明をしていくそうなのですが、コロナ禍で研修が進まなくなりました。ウェブカメラを使っていてもお互いに画面のなかの人として認識してしまうから、表情を読むことが難しかったため、MRを使ったカウンセリングの授業ができないか、というお声がけをいただいたこともあります」(新田さん)

フォーラムエイトのバーチャルショールームの様子。PC、スマートフォンのブラウザからアクセス可能

バーチャルショールーム、バーチャル展示会、バーチャルショップにおいては、「Shade3D」との連携機能が生きます。バーチャルプラットフォームの中にはテンプレート化されたバーチャル空間を選ぶもの、プラットフォーマー側にバーチャル空間の構築を依頼するものなどがありますが、F8VPSはShade3Dと連携することで、ユーザーは直接空間内のデザインが可能です。時間もコストもかかる外部のリソースではなく、社員自らが、展示する商品やデコレーションの作成・置き換えを行えば、短時間・低コストでの改装も可能となります。Shade3Dに用意されている数千ものライブラリも自由に活用できます。

「リアルなショールームには置きにくいサイズだったり、動かすことができない商材も、実際のスケールで展示して動作状態を見てもらうことが可能です」(新田さん)

さらにFacebook(現Meta)製のQuest 2といったVRヘッドセットを用いれば、実際にバーチャル空間に足を踏み入れたと思えるほどの高い没入感を得ることも。リアルと同スケールの商材を見てもらうことが可能となるため、商談もより説得力が増すというわけです。

「CADで作った商品のデータを置いて、単純に外見が見られるようにする。といったことであれば、他のバーチャルプラットフォームやVR SNSでも実現できます。しかし大規模な商材だったり、操作機能を組み込んだりと、会社ごとに異なる商材や実現したい内容に合わせてバーチャル空間をゼロから作ろうとした時に、F8VPSならスピーディに対応できます」(新田さん)

次ページ:すでに実装が始まる「デジタルツイン」

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