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  • 2021.08.06
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有名アーティストの振り付けも手掛けるダンスアーティストのオンラインダンスプログラム「Dance with WAO!」が目指す、誰でも自由に踊れる社会

米津玄師や加藤ミリヤのライブ振り付けなどを手掛け、さまざまなスクールでダンス講師としても活動しているアーティストのWACHU WAO(和中和央)さんが、今年2月にオンラインダンスプログラム「Dance with WAO!」をスタートした。

「Dance with WAO!」の特徴は、いわゆる「ダンサーになる」ためのプログラムでも、単なるエクササイズでもなく、即興で楽しく身体を動かすことを通じて「自分の魅力に気づく」ことを最大の目的にしていることだという。

新型コロナ禍が1年以上続き、運動不足を実感しつつも「おうち運動」をするには重い腰が上がらない…という人も多いかもしれない。そこで今回はWACHUさんご自身に「このプログラムは単なるエクササイズを超えたどんな魅力があるのか」というテーマを中心に語ってもらった。

最もベーシックなプログラムは毎週日曜、午前11時からの45分間で行われており、1レッスン1100円とかなりリーズナブルな価格で体験できる。以下で語られるWACHUさんの考えに共感した方は、ぜひ試してみてはいかがだろうか?

聞き手:米田智彦・神保勇揮 構成・文:神保勇揮 写真:KOBA・Emiko Yamabe ヘアメイク:Yutaka Izushima

WACHU WAO(和中和央)

ダンスアーティスト/振り付け師/インストラクター

鹿児島県出身、東京都在住。4歳からクラシックバレエ、16歳より振り付けを始める。 日本女子体育大学舞踊学専攻卒業後、旧こどもの城指導員を経て、ダンスインストラクター/振り付け師として独立。
振付では米津玄師2018 LIVE 『Flamingo』、土屋太凰 主演映画『累』 、加藤ミリヤ2019ツアー『GEMINI』 、NHKおかあさんといっしょ『パンはパンでも!?』等を担当。
指導では、キッズガーデンプレップスクール、大阪ダンス・俳優&舞台芸術専門学校ダンスプロフェッショナルコース、レベルフリーのインプロヴィゼーションクラス等を担当。
子どもや、ダンスの特別なトレーニングを受けていない方との関わりの中で、持ち前のユニークさや個性的な発想が人を笑顔にさせること、彼らの表現の美しさに気付き、これらを通して周囲の人の役に立ちたいと思うようになったことが本プログラム立ち上げのきっかけとなる。
アートからエンターテインメントまで、本物志向であるが親しみやすい表現が特徴で、赤ちゃんからプロフェッショナルまで幅広い層の心が踊るアプローチをモットーにしている。
また、自身がセクシャルマイノリティ、アーティストであることの葛藤も多く、社会情勢や心のあり方に向き合ってきたことも表現の源になっている。
ダンス演出・振付は空間・時間のデザインであると捉え、演者と観客が一体となって体感できる表現を大切にしている。

45分間即興で踊り続けるプログラム!?

――「Dance with WAO!」は、他のダンスレッスンと違って決められた振り付けはないということですが、それはどういうことですか?

WACHU:元々私が振り付けを覚えてお手本通りに踊ることが苦手で、即興で踊っている時に本来の力を発揮できていると感じていたことから、即興で踊ることを追究するレッスンを対面で行っていたのですが、今回のパンデミックを機に、より様々な環境にいらっしゃる方にこのレッスンをお届けできないか?と考えたことがきっかけとなり、始めたプログラムです。オンラインのレッスンは毎週日曜・午前11時からの45分で、アーカイブ動画も視聴可能な月額制3300円(1レッスン単体の場合は1100円)という設定です。これとは別にマンツーマンのプライベートオンラインレッスン(1時間)、定員制のグループオンラインレッスン(1時間)のプログラム、そして対面でのプログラムもありますし、キッズ向け、プロ志望者向けのプログラムも準備中です。

レッスン内容としては、さまざまな動きのアイデアをお手本や、想像力を刺激する言葉でガイドしながら踊っていきます。選曲はさまざまなジャンルを織り交ぜ、皆さんからのリクエストも取り入れます。1回のレッスンのシステム的な参加上限は500人なのですが、まだその人数が集まったことはないので、だんだんと大人数でも対応できるようにしていきたいと思っています。

最初はリズムに乗って首を振る、身体を揺らすといった、とてもシンプルな動きから始めていきます。動きを繰り返していくうちに段々と、あまり考えなくても身体を動かせる状態になってきます。そのタイミングで、次は肩を動かしてみましょう、違うリズムの取り方を試してみましょうと展開していきます。

動きをガイドする時は想像力と身体の感覚を接続できるようにアプローチしていきます。例えば“忍者の動き”をテーマにした場合、まず「忍び足でそーっと歩く」と表現し、重心を引き上げる感覚を直感的に捉えていただきます。次に「手裏剣をよける動き」と展開し、スクワットやジャンプを組み合わせた動きを、それが高強度の動きであることをできるだけ感じさせないように導いていきます。最後に「指サイズの忍者が身体中を走り回る」と発展させて、指先が身体に触れる感覚にフォーカスし、滑らかなウェーブの動きを引き出していく流れです。

そうした動きの変遷がレイヤーのように重なっていって、気がつけば様々な動きをマスターし、汗ばんで心も頭もスッキリしている状態になっている、というプログラムの組み方にしています。

―― それは「振り付けをパーツに分解してマスターし、1回45分で1曲を完成させる」という内容になるのでしょうか?

WACHU:いえ、あくまでも即興で踊るという内容です。「1回につき1曲」というわけではなく曲はどんどん変わっていくので、「1曲に対して最低一つのテーマ(動き)で踊る」という感じです。1曲で複数の動きを組み入れていくこともあります。

1つの動作に没頭することで自分と向き合う、魅力を発見する

―― 普通のダンスレッスンは、やはり「1曲の振り付けを完成させる」という方向性がメインなのでしょうか?

WACHU:ほぼそれが主流だと思います。なので通常のレッスン内容の組み立てはゴールからの逆算型というか、「今日はこの振り付けを踊りたいから、動きをパートごとに練習して覚えていきましょう」という流れになっていくのですが、「Dance with WAO!」では「この動きにどんな性質があるのか」にフォーカスして、踊っている心身の状態を感じることに集中するプログラムになっています。

7月11日に開催された「Dance with WAO! オンラインレッスン」のダイジェスト動画

もちろん、決められた振り付けを絶対に踊らないというわけではなくて、リクエストがあれば「今回はこれをやってみましょう」ということもあり得ます。でも、その場合もお手本の型に向かって完結するものではなくて、振り付けの構成や動きの本質を捉え、それぞれの楽しみ方やアレンジ方法を提案していく、ということになると思います。

7月25日に開催された「Dance with WAO! オンラインレッスン」のダイジェスト動画②

―― レッスン参加者としても「1曲の振り付けを全部マスターできた!」という成果は非常にわかりやすいと思うのですが、あえてそうした選択をしないのはなぜでしょうか?

WACHU:確かにそのやりがいや楽しさもあるのですが、このプログラムでは「動的瞑想」の実践をしたいと思っているんです。1つの動作に集中して身体を動かすことで「自分が身体を動かすということ、それを頭の中で認識し、色々な考えを巡らせること」を体感し楽しんで欲しい。要するに集中・没入するという状態です。

「Dance with WAO!」公式サイトより

一連の決まった振り付けを踊る中でそれが起こっていないかといえばそんなことはありませんが、初心者にとっては情報量が多すぎるので最初はなかなか難しく、熟練者であっても意識しなければ得られない感覚です。この取り組みを重ねていくと、自分のコンディションや考え方のクセなんかが分かってくるんです。「Dance with WAO!」を通じて自分と向き合う、魅力をより理解するとか、そういうことにつながっていくことが最大のメリットだと思っています。

―― テクノやミニマル・ミュージックのような、同じリズムを反復しながら徐々に展開していく音楽を聴いて踊っていると、たまにそうした感覚を覚えることがあります。

WACHU:まさに同じことだと思います。祈祷のためのダンスってあるじゃないですか。あれとも似た要素があるのかなと思います。一種のトランス状態になって“日常の自分”から解放され、感覚や意識に身を委ねる中で見えてくるものがある。日常ではなかなか感じにくいものだと思います。

ーー せっかくなので、ちょっとこの場で一緒に踊ってみませんか?(笑)。

WACHU: いいですね(笑)。その方がわかりやすいと思いますしぜひお願いします!

「踊ることが恥ずかしい」という共通認識があるのはなぜか

WACHUさんと一緒に踊る、FINDERS編集長の米田

―― 今WACHUさんと一緒に踊っていても感じましたが、他人と一緒に踊ると動きが同調することが結構ありますよね。ハーモニーが生まれるというか。その時は確かに何も考えず身体を動かすことに集中していました。

WACHU:ありがとうございます。集中・没入すると不思議と、他人と共鳴しているような感覚を覚える瞬間がありますよね。この状態の美しさにひらめきを得て始めたプログラムなので、そうおっしゃっていただき嬉しいです。もちろん特定の振り付けを踊れるようになる練習の意義や楽しさも学び経験してきましたし、それを否定しているわけではないのですが、その上でアプローチを変えています、ということだと思っています。

―― そうなってくると、参加する動機はダイエットだとか単純に音楽が好きだとか、何でも良いということですね。

WACHU:はい! 以前私がレッスンをしている時に、まったく動かずにじーっと見つめているだけのお子さまがいらっしゃったのですが、レッスンが終わって私が見ていない時に、一人で踊っていたというお話を伺ったことがありました。

その子も見ている間、心の中では踊っていたと思うんです。そういうことは大人にも絶対にあり得るし、どんな関わり方であってもそれはそれで一つの表現として成立しうると思います。なのでこのプログラムを体験していただく仲間には「それでいいんです!」ということを伝えたいです。

今のお子さま世代はダンスの必修化やメディアの影響で、踊りに対する抵抗がなくなってきていると感じます。とはいえ、教育現場で先生方が「やっぱりダンスを教えるのは難しい」と大変困っていらっしゃると耳にすることも多いです。

ダンスを学ぶことの教育的意義は、まず“自分を表現できる”ことであると考えています。ですがそもそも自分の本心に向き合い、さらけ出せるような機会が普段はあまりなく、その点を重視して取り組もうとする指導者が少ない印象です。指導者自身がそういったことに対する抵抗感を抱えたまま、小手先で得たダンスの知識を子どもたちに伝えようとするので、本人も気づかないまま子どもたちに「正解を踊らなくてはならない」というプレッシャーを与えてしまっていることも多いのではないかと思います。

―― それこそダンスが好きとか、日常的にフェスやライブハウス、クラブなどに行くような人でないとなかなか気軽に踊ろうとはならないですよね。

WACHU:そうですね、“誰もが気軽に、自由に踊る”という社会になかなかならないのは「踊ることが恥ずかしい」という意識があることが大きいと思います。

ここでの”恥ずかしさ”は自意識や自己肯定感が関わっていると思います。私にはもともと、周囲の目を気にして自分の本心に蓋をする傾向があり、そのことにすら気付いていない時期が長くありました。その時は人前で踊っていても「自分が感じるありのままをさらけ出したら、嫌われてしまうのではないか」という恐れが潜在的にあって、もっと技術を身につければ人から認めてもらえる踊りができるようになると思っていました。やはりそのことが、プロを目指す過程で壁となり行き詰まってしまい、そこで初めて本心に蓋をする心の傾向があることに気付きます。そして幸運にもそのタイミングで、そんな私の心の内を見抜き、良さを認めてくださる師にも出会いました。

そんな経験もあって、ダンスに限らず自己表現をする時に”恥ずかしさ”を感じる気持ちがとても良く分かります。だからこそ、師が私に自信を与えてくださったように、同じように感じていらっしゃる方それぞれにとっての心地よさを提案していきたい、それらを探すお手伝いをさせていただきたいと思うようになりました。

とはいえ、“正解が出来ること”が重要視される教育や社会を経験してしまうと、「他人に否定されたらどうしよう」という不安はやはり無意識のうちに働いてしまいますよね。私もそうなのですが、多かれ少なかれ周囲の価値基準で自分の行動を選択するということを習慣化していると、例えば4人中3人が「Aだよね」と言っている中で、自分だけ「Dなんですけど…」みたいなことは言いづらいのではないかと思います。

―― 確かに。

WACHU:一方で多様な意見を尊重していかなければならないことはわかっている。けれども、いざ異なる意見が出てきてみたらそれをどう扱っていいのか、どこに着地すればみんながハッピーでいられるのか、わからなくなってしまうことって多いと思うんです。なので少数派の当人は「やっぱり自分は違うんだ…」という疎外感を覚えて“しゅん”となってしまう、みたいなことは結構起こっていると思います。

だから他人の評価で自分の考えや行動を決めることだけが正解じゃないということを、私はダンスレッスンというかたちを通じて説いていく必要があるんじゃないかと思っています。

誰もが安心して心のありのままを表現できるコミュニティにしたい

―― WACHUさんはプロフィールに「自身がセクシャルマイノリティ、アーティストであることの葛藤も多く、社会情勢や心のあり方に向き合ってきたことも表現の源になっている」と書かれています。このことについてもう少し詳しくお聞きしたいです。

WACHU:まずアーティストという職業は人前で堂々と表現することができ、一見華やかな印象を持たれることも多いですが、現実には資金力や社会的地位がある人の評価を得たり、世間から求められる表現ができなければ発展していくことができないという、“自己表現”と“社会的評価”の間で生じる葛藤を抱えている人は多いと思います。

例えば、アートの知識がない方が美術館に行き、「アートはよくわからない」と感じられる状況をイメージしていただくとわかりやすいと思うのですが、そこで「訳の分からないものを見せられたので、入場料を返金して欲しい」とおっしゃる方はほとんどいないですよね。それが有識者によって価値があると評価されていることを認識しているからです。

こういったことから、アーティストが純粋に人々を驚かせる、楽しませる、癒す表現を突き詰めていくと、それが社会的にも評価され、価値のあるものだということを証明しなければならないという使命に直面する。この使命を果たしていくことが最も難しいことであると私は感じています。

私自身はもともとクラシックバレエやコンテンポラリーダンスの世界に憧れ、のめり込んだことがプロを目指すきっかけだったのですが、創作(振り付け)を始めた頃は、普段テレビで見られるようなダンスに親しんでいる観客の方から「よく分からない」という感想をいただくことが1番の悩みでした。

そこで「どうしたら自分の伝えたいことを周囲の人に理解してもらえるのだろう?」と考え、メディアやエンターテインメントの世界でメジャーなダンススタイルを武者修行的に学び始めたことが転機となり、現在の表現や活動に繋がっていきました。

ダンス業界に関しても、日本のダンサーや振り付け師の労働条件は、他の職業と比較してまだまだ整っていない部分が多く、「表舞台に立てるチャンスを逃したくない」「有名な方と共演する機会を失いたくない」という理由で、クライアントの提示する条件がたとえ納得できないものであっても引き受けてしまう状況があることも事実です。

私自身、これらの交渉を自身で行う中で、仕事を依頼したダンサーやアシスタントに安心できる労働環境や条件を提供することが出来なかった悔しさや、自分自身の立場の弱さを痛感することが多くありました。そのことがダンスの認知度を高めていきたい、という現在の活動の原動力にもなっていますし、その価値を正しく理解・評価していただけるよう、自ら動いていく必要があると考えています。

―― 「アーティストであることの葛藤」は自身または周囲に表現活動をしている人がいないとわかりづらい部分もあるかと思いますが、それも含めて言語化していく必要があるということですね。

WACHU:はい。そしてセクシャルマイノリティについてですが、私は生物学的には女性であり、現在は同性を恋愛対象とするレズビアンであると認識しています。同時に、一般に男性的とされる部分も多く持ち合わせていると思っていますし、恋愛対象についても女性を愛するという感覚より、性別を越えてその人自身自身に惹かれる感覚の方が強いので、自分自身の認識を一つに決める必要もないのではないか、と思っています。

私がセクシャルマイノリティであることを周囲の方にカミングアウトした時、多くの方はそれを温かく受け入れてくださいましたが、中には私がカミングアウトすることで起こるかもしれない困難を案ずるがゆえ、「このことは他の誰にも話さなくてもいい」と助言され、葛藤したことがありました。

お子さまとのレッスンの場面でも、最近ではSDGsの取り組みをされている指導者の方もいらっしゃいますが、お子さまから「先生はどうして(女の人なのに)男の人みたいなの?」と純粋な質問をいただく場面も多いです。

指導者にとっては「男の子だから、女の子だから」という表現が時代に適さないと知りつつも、効率的にカリキュラムを進めていかなければならないというプレッシャーの中でどのような表現や指導をしていくことが適切なのか、迷ってしまうことも多いのではないかと思います。

特に同性婚やジェンダーバランスの問題については、そういった議論をする中でどうしても対立に発展してしまうというか、歩み寄る余地が見えないと感じることもあります。どうすればお互いに安心できる形をとっていくことが出来るのか、私たちなりの方法で模索していく必要もあると思います。

人知れず悩んだり苦しんでいる人のことを想うと、マイノリティに対する理解が進んでいかないことは非常に残念で、もどかしさを感じることもあります。かといって、それを受け入れられない人に対して憎むとか、今すぐ考えを変えて受け入れてほしいとか、そういうやり方だけでは解決していかないことも分かっている。どうやって対話していくかは模索する必要があるけれど、私が人前に立ち、表現できる場に立たせていただいている以上、「ここにこういう人がいます」と手を挙げることは絶対に必要なことだと思います。声を上げなければ、存在していることも、どんなことを考えているかも知られないと思うので。

個人的な経験としても、「意見の異なる人と、どうしたらお互いに納得出来る形を作っていけるのか?」と思い悩んだことが仕事でもプライベートでもあったのですが、対話が不十分なまま出来た成果物がどこか面白みに欠けるものになってしまった、ということがありました。そうした経験もあって、意見が異なるからこそ向き合って話を進めていくことが必要なのではないか、そこには個人の力を超えた可能性があるのではないか、と思うようになりました。

そんな思いもあるので、私のプログラムに参加いただける方々は、最初はダンスが好きで集まったかもしれないけれど、ゆくゆくは何か企画を打って面白いことを考えたり、困っている人の話を聞いたりと、お互いに意見を交わし合えるコミュニティにもしていきたいと考えています。

―― 先ほどのたとえ話がすごくわかりやすかったんですが、「皆がAという価値観だけれど自分はDだ」という時に、それが他人を傷つけるような考え方でなければ別にいいじゃないかと思っている人が大半だと思うんです。それこそセクシャルマイノリティだから積極的に差別しよう、迫害しようと思っている人は、それはそれで少数派だというか。ただWACHUさんもおっしゃった通り、「私もそうです」と言われた時に相手が傷つかないリアクションがわからなくて戸惑ってしまうこともあると。

WACHU:おっしゃる通りだと思います。それが嫌だと思っているわけではないけど、「もしそれが自分のことだったら?」という感覚を持ちづらいということですよね。

でも、実際は多くの人が何かしら少数派である部分を持っている。それは多様な在り方を認識した時に見えてくるものだと思います。そして、たとえそれが表立って批判されているわけではなくても、“自分の少数派の部分”に対しては自信を持ちづらく、不安を感じやすい。そこには他者と共感することで安心を得る人間の根本的な性質があると思います。

お互いに異なる価値観に触れることで、自分にも少数派のところがあったとか、少数派の人に対する“他人事感”や“緊張感”を解き、もっと自然体で関わりあうことができるのではないかと。

―― はい。その人の性質、素養のせいというよりも、単純に触れた経験が少ないが故に起こってしまう出来事もあるのではないかと思います。それは「ダンス文化に触れた経験が少ないから、どうしていいかわからない」ということも近いものがあるんじゃないかと。

WACHU:なるほど。人類の全員が踊るべきとは私も思わないですが、古代エジプトの壁画にダンスの絵が描かれており、文明が始まる前から踊られていたと言われていますから、何らかのかたちで表現したい欲求はきっと皆さんもお持ちだと思うんですね。その表現の仕方は、何でもいいと思うんですよ。

全身が自由に動かせなくても踊りはできるし、こうやって座っていらっしゃる佇まいが素敵だという見方がありますよ、という提案をしていきたいという気持ちもあります。どんな形式であれ「心が躍ること」について思いを巡らせるのがダンスを学ぶ真髄なんじゃないかと。

そういった意味では、私はただ皆さまにダンスを踊っていただきたいと願うのではなく、異なるもの同士がお互いに影響し合って創造していくことに可能性を感じていますし、これに取り組むことが私自身の心の癒しに繋がっているようにも感じています。

―― あとはオンラインだと、普通のレッスン教室と違って他の人は見ていないわけで、より自由に踊っていいわけですよね。「どうせある程度ダンスの素養があるヤツが輝くんでしょ。でも自分には無理だから」だなんて思う必要はないというか。

WACHU:はい! まさにそうです。表現活動とは一見距離があるようなデスクワークをしている方でも、成果物が気持ちを込めてつくったものなのか、やっつけ仕事なのかは、直感的に「これは違う」ということを感じる力があると思うんです。

デスクワークが表現にもなるし、人と関わることが少ない仕事であっても言動一つ、行動の仕方一つでセルフイメージが大きく異なるというのは、イコールみんながアーティストであるということだと思います。自分の織り成すものに愛情を持って楽しんでいくことが、自分自身や周囲の人の喜びに繋がっていく。その連鎖が、物質的なものを超えた豊かさに繋がっていくのではないかと、私は思っています。


「Dance with WAO!」詳細はこちら
https://www.dancewith-wao.com/

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