CULTURE | 2021/07/17

TikTok で知り合った小学生女子を、自宅に連れ込んだ33歳男性。裁判官が厳しく説教した理由【連載】阿曽山大噴火のクレイジー裁判傍聴(27)

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月曜日から金曜日の9時~5時で、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載を持つ。パチスロもすでにプロの域に達している。また、ファッションにも独自のポリシーを持ち、“男のスカート”にこだわっている。

女児にLINEで「遊びたい」

罪名 未成年者誘拐
W被告人 配達員の男(33)

起訴されたのは、今年の1月7日にTikTok で知り合った被害女児にW被告人が遊びに誘うLINEを送り、東京都内の病院前で待ち合わせをし、車に乗せてW被告人の自宅へ連れて行き、14時~18時までの間、自己の支配下において誘拐したという内容です。法廷では被害女児の年齢は明かされなかったけど、ニュースでは小学校高学年の女の子と報じられていたので、10代前半の年齢かと思われます。

検察官の冒頭陳述によると、W被告人は高校を卒業後、介護の仕事をしていて、犯行当時は無職だったようです。

W被告人はかねてより、TikTokに動画の投稿をしていて、2020年12月に被害女児がW被告人のアカウントをフォロー。そこからダイレクトメッセージで連絡を取るようになったらしい。

犯行の後日、被害女児が学校で、SNSで知り合った人と会って、家に行った、という話をしているのを先生が気づき、親に連絡して被害届を提出したというのが事件の流れになります。

調べに対し、被害女児は「LINEで“遊びたい”と言われて行ってしまった」と供述しているとのこと。被害女児の母親は、「ネットで知り合った人と会うとわかっていたら、外出させなかった」と述べているそうです。

一方、W被告人は取り調べで、「動画に被害児童がコメントしてくれたので、ダイレクトメッセージでやり取りして、LINEで連絡を取っていた。未成年者を自宅に呼ぶのは悪いことと思いながらも止められず、1月7日に遊びに来ないかと誘ってしまった」と述べているらしい。

今時、SNSやネット上のコミュニケーションが発端となって人付き合いが始まったり、人脈が広がっていくのは珍しくもないし、むしろよくある話。共通の趣味や話題が合えば、年齢に差があっても、友人としての関係は成立するわけで。じゃあ、本件に関してはどうすればよかったのかと。

法廷には、実家の北海道から東京地裁までやってきたW被告人の母親が情状証人として証言台に立ちました。今は同居していて、今後は再犯しないように監督していくと約束です。

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