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トランスジェンダー男性が経験した妊娠と出産「ただ赤ちゃんを身ごもれる男性というだけ」
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  • 2021.04.06
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トランスジェンダー男性が経験した妊娠と出産「ただ赤ちゃんを身ごもれる男性というだけ」

文:ヤジマミユキ

多様性が叫ばれる現代においても、性的マイノリティの人たちに向けられる偏見の目は少なくない。

それにも関わらず、あるトランスジェンダーの男性が新たな家族を作るために大きな決断をした。

自分で妊娠して出産したい

米国オレゴン州ポートランドに住むトリスタン・リースさんとビフ・チャップロウさんは男性同士の夫婦。リースさんの出生時の性別は女性であったが、現在は男性として生活しているトランスジェンダーだ。ホルモン療法によって、男性らしい声や髭は手に入れていたものの、子宮と卵巣の機能は残していた。

数年前のある日、リースさんはチャップロウさんに「赤ちゃんが欲しい?」と尋ねた。これまで何十人ものトランスジェンダーの男性が、健康的かつ責任ある方法で出産したのを見てきたリースさんは、自分にも可能性があると思ったのだ。

しかし当初、チャップロウさんは躊躇していたという。リースさんは「彼は私の身体にとって安全かという医学的な観点と、妊娠した男性が世の中でどう受け入れられていくかという社会的な観点を心配していたです」と、『Parents』のインタビューに語った。

しかし、検査を進める内に健康で安全な妊娠、出産ができることを知り、さらにサポートしてくれる医療チームと出会ったことで、夫婦は妊娠に向けて準備することを決意。リースさんはそれまで行っていた男性ホルモン投与を中断した。すると5カ月後に自然妊娠したのだ。

リースさんは妊娠中の様子を記録し、自身のFacebookに綴っていた。2017年3月の投稿では「自分の身体を素晴らしいと思っています。この身体で生まれてきたことは贈り物だと感じています。この身体で生き続けるために、ホルモン剤や肉体改造など必要な変化を加えたんです」と語っている。さらに「子宮があって赤ちゃんを産める身体であることも、良いと思っています。それが男性として劣っているとは思いません。ただ赤ちゃんを身ごもれる男性というだけです」とも。


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妊娠も家族の形も千差万別

2017年7月、リースさんは息子のレオ君を無事に出産した。疲労や吐き気などを経て出産し、リースさんは「教科書通りの妊娠」だったと表現している。

そして、「私たちが典型的でも伝統的でもない家族であることはわかっています。ただ、何事も常に『ある1つの方法』が、正しい方法や最高の方法、多くの人に役立つ方法というわけではありません。私たちの家族の姿を見て、お互いへの愛情と尊敬を感じてください。子どもたちがこの世に生まれ、人々がお互いに愛し合うことができるさまざまな方法について、引き続き考えてみてください」と語った。

きっと多くの苦労があったはずだが、「自分はユニークなことをしているだけ」と話すリースさんの姿に、多くの人が勇気付けられるだろう。家族の形も100人いれば100通り。マイノリティという考え方そのものがいつかなくなればいい、と強く思わせてくれる。


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