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お笑い第7世代「どこが面白い?」分かりづらさと本当の評判【連載】テレビの窓から(2)
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  • 2020.12.07
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お笑い第7世代「どこが面白い?」分かりづらさと本当の評判【連載】テレビの窓から(2)

イラスト:IKUMA

木村隆志

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎月20本超のコラムを寄稿するほか、テレビ・ウェブ・雑誌などにメディア出演し、制作現場への情報提供もしている。人間関係コンサルタントやタレント専門インタビュアーとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

定義はなく作り手の都合で変えている

テレビ番組表、ネットニュース、番組名やコーナータイトル……いつのまにか至るところで「お笑い第7世代」というフレーズが説明なしで使われるようになった。ただ、いまだに「何度か聞いたけど、どういうものなのかよくわからない」という人の声も聞こえてくる。

霜降り明星、EXIT、ハナコ、ミキ、四千頭身、宮下草薙、3時のヒロイン……お笑い第7世代と言われる彼らはなぜ起用され続け、芸能界や芸人界のどんなポジションにいるのか。テレビマンや芸能事務所関係者などから話を聞くと、彼らの微妙な現在地点が見えてくる。

まず単純にお笑い第7世代とは何なのか? その定義はかなりあいまいであり、起用しているテレビマンたちに聞いても「平成生まれ」「2010年以降にデビュー」、それどころか「こちら側の都合で線を引かせてもらうこともある」という声すらあった。もともと「第7世代」は2年前に霜降り明星・せいやが深夜ラジオで同年代を示すフレーズとして使ったものであり、それに一部メディアが過剰反応したに過ぎない。

ここまで広がったのは、テレビ業界の事情が多分に影響を及ぼしている。「既存のバラエティや中心メンバーに停滞感が漂いはじめ、新たな風がほしかった」「ベテラン・中堅VS若手の構図は企画が立てやすく、盛り上がりを作りやすい」「制作費削減で報酬の高いベテランから安い若手に切り換えたい」「若年層にテレビを見てもらうためのシンボル的なスターがほしい」などの事情から、お笑い第7世代というフレーズは、本人たちの思いや世間の反応はさておき、多用されていった。

さらに今年春、彼らに追い風が吹く。ビデオリサーチの視聴率調査が大幅にリニューアルし、年代性別などの細かいデータが全国で取れるようになったのだ。

「若さは魅力だが発展途上」という視線

これによって民放各局のメイン指標は、「どれだけの世帯が見たか」を示す世帯視聴率から、「何人が見たか」を示す個人視聴率にシフト。なかでも多くのスポンサーが求める13歳から49歳を重点ターゲットに据えた番組作りが急速に進められている。

とりわけ何かにつけてテレビ離れを指摘される「若年層をつかみたい」のが民放各局の本音。だからこそ「若年層視聴者と同世代のお笑い第7世代を起用しよう」という動きが加速しているのだ。実際、日本テレビが『第7キングダム』『お笑いG7サミット』、TBSが『霜降りミキXIT』を手がけたほか、フジテレビも『7G』のほか今月にも第7世代が土曜8時枠を目指す『Do8』も放送される。彼らの脳裏に、「これまで通りのベテラン・中堅だけでは興味を持ってもらえないだろう」という危機感があるのは間違いない。

はたして第7世代は、それぞれのキャラクターで勝負するだけでなく、「バラエティのお約束に合わせない」「無理して頑張りすぎない」「体を張らない」「上下関係にとらわれない」「テレビにこだわらない」という世代共通のカラーでも勝負している。ベテラン・中堅とは真逆の彼らがいるだけで、「新しいものを見せようとしている」というムードを感じさせやすいことも強みだ。

しかし、「ただ第7世代の若手を起用すればいい」というわけではないのが作り手たちの難しいところ。テレビマンも、芸能事務所関係者も、彼らの才能を評価し、大きな期待をかけている反面、“笑いのスキル”という点でベテラン・中堅を上回っているとは見られていない。

それが如実に表れていたのが、11月29日に放送された『千鳥の対決旅』(フジテレビ系)。「千鳥世代と第7世代が秩父ロケで対決」というテーマの特番であり、千鳥世代が千鳥、ロバート・秋山竜次、アンガールズ・田中卓志、かまいたち、第7世代がEXIT、宮下草薙、四千頭身、チョコレートプラネットが名を連ねた。しかし、進行、フリ、ボケ、フォロー、ガヤなど、トークの大半で千鳥世代が圧倒。第7世代はお膳立てをしてもらってようやく見せ場を得るというシーンが目立った。そもそも明らかにチョコレートプラネットを第7世代に組み込んだことが、両者のスキル差を埋めるためのチーム編成にほかならない。

これはキャリアの違いを見れば当然なのだが、第7世代はトーク力や笑いのバリエーションという意味では、まだまだ発展途上。コンセプト先行、話題先行の段階であり、業界内では「若さは魅力だが、まだ新たな笑いを生み出せていない」という見方をされているのだ。

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