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文:ヤジマミユキ
今年5月、米国ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害されて以来、世界中に「Black Lives Matter」運動が広がっている。黒人に対する差別は、大人だけが被っているわけではない。赤ちゃんの死亡率は、過去100年間で全体的には低下しているが、白人と黒人の格差は広がっている。
昨年公表されたCDC(米国疾病予防管理センター)の調査結果によると、黒人の赤ちゃんが1歳を迎えるまでに死亡する確率は、白人の赤ちゃんの2倍以上だという。
さらに先月、米国科学アカデミー発行の機関誌『米国科学アカデミー紀要』が黒人の赤ちゃんの病院死亡率に関する衝撃の調査結果を発表した。
黒人の赤ちゃんの死亡率に医師の人種が影響
ジョージメイソン大学やハーバードビジネススクールなどの機関の研究者チームが、1992年~2015年の米国フロリダ州で行われた病院での出生記録180万件を調査したところ、白人の医師が担当医の場合、黒人の赤ちゃんは白人の赤ちゃんに比べて、病院死亡率が約3倍になることがわかった。
逆に、黒人の医師が黒人の赤ちゃんを担当すると、その死亡率の差は半分にまで下がったことが判明。この減少に貢献したのは、難産であったり、比較的多くの黒人の赤ちゃんの出産を扱っている病院であることもわかった。また、白人の赤ちゃんの場合、担当医の人種は死亡率に影響を与えなかった。