文:赤井大祐
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リアル店舗を持つ小売業の多くが壊滅的な被害を受ける中、オンラインでの買い物ができるECサイトが存在感を強めている。
そんな中『Visual Capitalist』がEC最大手Amazonと、アメリカ小売大手9社の時価総額を比較したインフォグラフィックスを公開した。
Amazonと、アメリカ小売大手9社の時価総額を比較
このインフォグラフィックスの上部は、2020年7月1日時点のAmazonと、アメリカ小売大手9社の時価総額を比較したものだ。下部はAmazonとアメリカ小売大手9社の2010年時点と2020年時点の時価総額を比較したグラフとなっている。
2020年7月1日時点のAmazonと、その他アメリカ小売大手9社の時価総額は下記の通り。
Amazon:1兆4000億ドル
ウォルマート:3390億ドル
ザ・ホーム・デポ:2670億ドル
コストコ:1340億ドル
ロウズ:1020億ドル
CVS/ファーマシー:840億ドル
ターゲット:600億ドル
ウォルグリーン:360億ドル
クローガー:260億ドル
ベスト・バイ:230億ドル
アメリカ小売大手9社に対して、圧倒的な差を見せつけるAmazonだがそれでだけではない。アメリカ小売大手9社の合計時価総額は1兆710億ドルに対し、Amazonは1兆4000億ドル。なんとアメリカ小売大手9社を合わせてもAmazonにまったく届かない結果となった。
アメリカでは現在、ニーマン・マーカス、JCペニー、Jクルーといった小売大手が相次いで破産申請。リアル店舗を主体とする小売業が苦境に立たされている。実際、ある試算によると、アメリカで来年には約2万5000店舗が閉鎖するという予測も出ている。
10年で逆転した力関係
続いて、Amazonとその他アメリカ小売大手9社の2010年時点と2020年時点の時価総額の比較をご覧頂きたい。
まず目に飛び込んでくるのがAmazonの飛び抜けた成長率だろう。2010年時点の時価総額は500億ドルとウォルマートの3分の1にも満たない規模だった。ところが直近10年間で2830%も成長し、現在の時価総額は1兆4000億ドル。アメリカのEC小売売上高の39%をも占めるまでになった。
ネット書店としてスタートし、これまで多角化を続けてきたAmazon。クラウドサービスである「AWS(Amazon Web Service)」が急成長しており、昨年のAWSの利益高は92億ドル。Amazonの営業利益の半分以上を占めている。また、自然食品などを扱うホールフーズ・マーケットやゲーム配信プラットフォームtwitch、自動運転のスタートアップZooxなど積極的に買収してきたこと成長要因の一つだろう。