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河井前法務大臣夫妻「買収疑惑」や小池都知事「学歴詐称疑惑」に見る公職選挙法【連載】FINDERSビジネス法律相談所(24)
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  • 2020.07.14
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河井前法務大臣夫妻「買収疑惑」や小池都知事「学歴詐称疑惑」に見る公職選挙法【連載】FINDERSビジネス法律相談所(24)

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(今回のテーマ)
Q. 河井前法務大臣夫妻の「買収疑惑」や小池百合子都知事の「学歴詐称疑惑」などの選挙に関わる問題が何かと話題になっています。そうしたトピックスを含め、あらためて「公職選挙法」とは何か、教えてください。(30代・男性)

渡邉祐介

ワールド法律会計事務所 弁護士

システムエンジニアとしてI T企業での勤務を経て、弁護士に転身。企業法務を中心に、遺産相続・離婚などの家事事件や刑事事件まで幅広く対応する。お客様第一をモットーに、わかりやすい説明を心がける。第二種情報処理技術者(現 基本情報技術者)。趣味はスポーツ、ドライブ。

公職選挙法とは?

河井前法務大臣夫妻の「買収疑惑」、小池百合子都知事の「学歴詐称疑惑」など、最近、政治家の選挙不正の問題が世間を賑わせています。こうした不正は、「公職選挙法」という法律との関係で問題となるのですが、そもそも公職選挙法とはどのような法律なのでしょうか。

公職選挙法(昭和25年4月15日法律第100号)は、国会議員、地方公共団体の議会の議員、首長などの公職に関する定数と選挙方法を定めた全275条からなる法律です。

公職選挙法第1条では、「この法律は、日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」と定めており、「民主政治の健全な発達」のための法律です。

つまり、「民主主義の健全な発達」のための仕組みを定めつつ、「民主主義の健全な発達」を阻害するような行為を禁止している法律なのです。

違反には罰則もあります。公職選挙法違反というと、候補者の側が違反した場合だというイメージがあるかもしれませんが、候補者だけでなく、一般の有権者の側にも禁止行為は定められており、これに違反すれば逮捕されたり罰則を受けたりする可能性もあるので注意が必要です。

河井前法務大臣夫妻の「買収疑惑」

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河合前法務大臣夫妻は、票の取りまとめを依頼したことが問題とされました。取りまとめといっても当然ながら単に依頼するだけではなく、そこで現金を配るという「買収」の疑いが浮上したことが問題でした。

河井前法務大臣夫妻の公設秘書からの「ウグイス嬢」への違法な報酬の支払い、選挙区の市長や町長、地元議員、後援会幹部など合わせて100人以上に現金およそ2400万円を配布した疑惑、妻の案里議員も現金数百万円を配っていた疑いがあるということで、夫婦で逮捕されています。

こうした行為は、公職選挙法第十六章罰則(買収及び利害誘導罪)以降の罰則規定違反の問題となります。

買収および利益誘導罪とは?

公職選挙法第221条では、買収および利害誘導罪について規定しています。

1項では、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき」について、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処すると規定しています。

これは、特定の候補者に投票させるため(もしくは投票させないために)、「お金を渡す」「接待をする」といった典型的な買収行為だけでなく、「当選したら昇格させる」というような約束により、投票行動に影響を与える行為までも禁止する罰則規定です。

そして、公職選挙法第221条1項の行為を「候補者本人」「選挙運動を総括主宰した者」などが行った場合には、さらに罰則は重くなり、4年以下の懲役または禁錮または100万円以下の罰金とされています。

さらに、公職選挙法第222条では、多数人買収および多数人利害誘導罪を規定しています。

具体的には、候補者のために多数の選挙人または選挙運動者に対して買収や利益誘導を行った場合には、5年以下の懲役または禁錮に処されるというものです。

そして、候補者本人がこれらを行った場合、さらに罰則が重く、6年以下の懲役または禁錮とされています。

次ページ:小池百合子都知事の深まる「学歴詐称疑惑」

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