LIFE STYLE | 2020/04/16

新型コロナ対策に役立つ情報サイト「PAND AID」が緊急開設! 「今自分にできること」を体現するクリエイターに注目

新型コロナウイルスの蔓延で、世界中が翻弄される現在。世界の感染者数は約200万人、死者は13万人にものぼり、国内でも感染...

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新型コロナウイルスの蔓延で、世界中が翻弄される現在。世界の感染者数は約200万人、死者は13万人にものぼり、国内でも感染者は8727人を数えた(4/16 13時時点)。

そんな中、誰に頼まれたわけでもなく、パンデミックから命を守るための対策情報サイト「PAND AID」が民間のクリエイターによっていち早く制作されたので、お知らせしたい。

同サイトを立ち上げたのは、NOSIGNER CEOでデザインストラテジストの太刀川英輔氏。太刀川氏は東日本大震災の直後にも「OLIVE」という震災関連の情報サイトを自発的に立ち上げたことでも知られている。

新型コロナ関連のあらゆる情報が氾濫する中でできた、100人のボランティアたちが共同編集する、わかりやすく確かな情報を届ける「PAND AID」。立ち上げの経緯や目的について、ご本人に話を聞いた。

取材・文:庄司真美

太刀川英輔

デザインストラテジスト/NOSIGNER代表

デザイン活動体「NOSIGNER」代表。デザインストラテジスト。形を通して関係性を作ること(デザインの社会実装)=デザインを新領域に適用し、自然で率直な美しい未来の形を創る。発想の仕組みを解明すること(デザインの知の構造化)=発想と創造の仕組みを解明し、社会の進化を生み出すような未来の天才を増やす。この2つの目標を実現するために、デザイン発想を生物進化から学ぶ「進化思考」を提唱。グッドデザイン賞、WAF(世界建築フォーラム)など、多くの国際デザイン賞の審査委員を歴任。現在は、社会変革を促すデザイン戦略を通して、次世代エネルギー・地域活性・世代継承・伝統産業・科学コミュニケーションなどの分野でさまざまな企業や組織と共創している。

あらゆるジャンルの人が結集し、目に見えない脅威から身を守るための情報発信

新型コロナウイルス対策として、人との正しい距離の取り方をイラストでわかりやすく図解(PAND AIDサイトより)。

―― 共同編集情報サイト「PAND AID」制作の背景には世界的なパンデミックが背景にありますが、今回制作しようと思った主な動機は?

太刀川:今回のパンデミックで、ウイルスへの脅威に不安を募らせる人が大勢います。新型コロナウイルス対策として、何をすれば安心できて、何がいま必要なことなのかという情報をひとつにまとめてアーカイブできるサイトが必要だと考えて、自発的に制作しました。

―― 太刀川さんは、かつて震災直後に震災対策の情報サイト「OLIVE」を立ち上げた経緯があります。その時の経験やノウハウは今回どのように役立ちましたか?

太刀川:9年前、東日本大震災の40時間後に、共同編集できる「OLIVE」という震災対策サイトを立ち上げたことで、おかげさまでいろんな人が情報を持ち寄って震災から生き残るために役立つ情報をたくさん集めることができました。結果、3週間ほどで100万人くらいの人に見ていただけるサイトに育ちました。

そしてサイトをソースにした記事やコンテンツが、新聞やテレビなどの大手マスコミを通じて拡散された経緯がありました。その後、「OLIVE」の情報が書籍化されたり、防災キットが商品化されたりといった流れがあり、最終的には800万部以上を発行した東京防災のプロジェクトにもつながっていきます。

今回は震災時とはかたちは違いますが、放射能もウイルスも目には見えない脅威という点では似ています。震災時に貴重な経験をさせていただいた経緯もあって、自分たちの小さな力が束なれば、大きな力になることを知っていました。だから今回もいてもたってもいられず、再び手弁当で始めてしまいました。

―― 数日間かけて夜を徹して制作したということですが、太刀川さん自身、肌感覚でどの段階から危機感を感じ、どのくらいのスピードで制作まで至りましたか?

太刀川:サイトを発表したのは4月5日です。作り始めたのは4月の頭頃でしょうか。2月くらいから脅威は感じていましたが、実感がまだわかなかった。動きが早いと言ってくださる方もいますが、今回もっと早く始められたかもしれないという思いもあります。

一般的にはクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で多くの人の集団感染が大きく報じられて顕在化した感があります。その後、数週間で一気に感染者が拡大し、今となっては自分の家族や身近な友人がいつ感染してもおかしくない状況になってしまいました。世界的には東日本大震災よりもさらに大きな被害が広がってしまっている。でも情報の支援としては、震災よりも今回のほうがシンプルなんです。そこで新型コロナ対策として役に立つ情報を少しずつ発信することは無力ではないはずだと思い立ち、数日間かけて準備をして、サイトの公開に至りました。

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