EVENT | 2019/10/09

国や地域によって異なるハンドサインの意味。ユニバーサル・スタジオでは不適切に「OKサイン」を使った従業員が解雇される事態に

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親指と人差し指で丸を作る「OKサイン」に逆風が吹いている。世界中のユー...

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親指と人差し指で丸を作る「OKサイン」に逆風が吹いている。世界中のユーザーに見られる可能性の高いSNSなどでは使わない方が良さそうだ。

現在開催中のラグビーワールドカップや、来年の東京オリンピックに向けて、スポーツ・観光関連など、海外ユーザーを意識したウェブサイトなどでの利用も控えたい。反感を買って苦情が殺到したり、抗議の意志表示としてページを改ざんされるなどのサイバー攻撃を受ける恐れもあるだろう。

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。著書に「ビジネスマンの今さら聞けないネットセキュリティ〜パソコンで失敗しないための39の鉄則〜」(ダイヤモンド社)などがある。

「OKサイン」は白人至上主義者のもの?

日本では「OK」を意味するハンドサインとして親しまれているOKサインだが、他国では違う解釈をしている場合が少なくない。例えばフランスでは、数字のゼロを表しているとされ、役に立たないことを暗に匂わす侮辱の仕草としてとられてしまう恐れがある。ギリシャでは同性愛を意味するし、ブラジルなどでは性的な下品な意味を持つと言われる。

近年では、このOKサインにさらに厄介な解釈が加わった。

親指と人差し指で丸を作り、3本指を立てた様子が「WP(ホワイトパワー)」の文字に見えることから、白人至上主義者であることを示すハンドサインとして使われ始めたのだ。反差別を掲げるユダヤ系団体「名誉毀損防止連盟(ADL)」でも、極右や白人至上主義者が用いるヘイトのシンボルを登録するデータベースに、OKサインを加えたという。

OKサインがヘイトのシンボルとして使われるようになったのは、2017年にネット上の匿名掲示板「4Chan」で差別主義者たちが始めたキャンペーンが発端とされる。トランプ大統領も演説中によく使う使うOKサインを、白人至上主義者たちが交わす合図だと主張し始めたのだ。

実際に、ニュージーランドのモスクで銃を乱射して大量殺人の罪に問われている被告が、初出廷した際に笑顔でOKサインを出すなど、差別主義者たちの間では徐々に浸透し始めているようだ。

白人ではない日本人が使う場合は、誤解される可能性は少ないとは思うが念のため注意しよう。

OKサインを不適切に使った従業員を解雇

OKサインは、すでに一般の人たちにとっても身近な問題として意識されるようになっている。米メディアのUSA TODAYも、つい先日、この問題を取り上げたばかりだ。

米国フロリダ州にあるユニバーサル・スタジオのテーマパーク内で、人気キャラクターの着ぐるみを着用した従業員が、来園者の少女(黒人と白人の血を引く)との記念撮影時に不適切なOKサインを作っていたことも話題となった。

記念写真に写っていた不適切な行為に少女の母親が気づき、家族は大きなショックを受けたというのだ。当時の様子を写した動画も公開されている。運営側は謝罪に追い込まれ、この従業員を解雇する事態に至っている。

USA TODAYで公開された動画

国や地域によって異なるハンドサインの意味

日本とは異なる意味で使われるハンドサインはほかにもある。

例えば「ピースサイン」。ギリシャでは相手を侮辱する意味にとされるので注意が必要だ。ピースサインをした写真をSNSに挙げると、指紋が読み取られてしまう恐れもあるので、できるだけ避けた方がいいだろう。

イギリスやオーストラリアでは、ピースサインをビクトリーのVから「勝利」を表す意味で用いるのだが、手の甲を見せる「裏ピース」の場合には、性的な意味で侮辱する表現になることも覚えておこう。

日本では、女性の恋人や愛人を表す「小指を立てるサイン」も、中国ではできの悪い人を表す侮辱的な表現になる。

Facebookの親指を立てる「いいね」サインだって、中東や西アフリカなどでは性的な侮辱にとられる恐れもあるというのだから厄介だ。

世界中に情報発信ができるSNSやウェブサイトに写真を載せる際には、ハンドサインの意味することの違いなど、他国の文化や習慣を調べてから行いたいものだ。