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どんどん便利になるネット上のサービス。でも「履歴やアカウントを消す方法」を全部把握してますか?
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  • 2019.06.05
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どんどん便利になるネット上のサービス。でも「履歴やアカウントを消す方法」を全部把握してますか?

Photo By Shutterstock

米Amazonは5月29日(米国時間)、音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」の機能をアップデートし、「Alexa、今日話しかけた言葉を消去して」というボイスコマンドを追加したと発表した。類似の「Alexa、いま話しかけた言葉を消去して」というコマンドも近々実装されるという。なぜ、いま、これらの機能が追加されることになったのだろうか。

伊藤僑

Free-lance Writer / Editor 

IT、ビジネス、ライフスタイル、ガジェット関連を中心に執筆。現代用語辞典imidasでは2000年版より情報セキュリティを担当する。SE/30からのMacユーザー。著書に「ビジネスマンの今さら聞けないネットセキュリティ〜パソコンで失敗しないための39の鉄則〜」(ダイヤモンド社)などがある。

Alexaに話しかけた言葉を消去する機能を提供開始

Alexaは、Amazonが販売するスマートスピーカー「Echo」シリーズや、タブレット端末「Fire」シリーズなどに搭載されたクラウドベースの音声アシスタント機能。Echoシリーズは、スマートスピーカー市場にいち早く参入してシェアを伸ばし、現在もGoogleの「Google Home」とトップシェアを争っているIoT機器の代表選手ともいえる製品だ。筆者もサービス開始時から利用している。

スマートスピーカーは、その名称からは想像できないほどの大きな可能性も秘めている。照明器具や家電製品、住宅設備機器などを音声などによって統括コントロール可能な、スマートホームの中核となる製品としての役割を期待する声も多い。自動車への応用もすでに始まっている。

これまでもAlexaには、アプリを利用して録音を消去する機能が提供されていたが、いちいちスマートフォンなどを操作する必要があったこともあり、不便さを感じるユーザーもいたようだ。

それにしても、なぜ、いま、AmazonはAlexaに話しかけた言葉を消去する機能を提供し始めたのだろうか。ユーザーの大半は、これまでAlexaに話しかけた言葉を消去する必要性を感じたことがないと思われるにも関わらずだ。

その背景には、「GDPR(EU一般データ保護規則)」の施行などによって、企業などが取得した個人情報について、保存や消去、利用の許諾など、「利用者本人がコントロールできるようにすべき」という要望が高まってきていることがあると思われる。

音声アシスタント機能は常に「聞き耳を立てている」

Alexaといえば、4月11日に米メディアのBloombergが報じた、「AmazonはユーザーがAlexaと交わした会話を録音していて、その内容を従業員が聞ける状態にあった」というニュースが話題になったばかりだ。

ただし、ユーザーがAlexaと交わした会話を同社が録音していたのは、AIによる音声の認識精度を高め、聞き間違いを減らす目的のためで、同様の行為は、音声認識機能を提供する他社でも行われている。録音データを利用されることが嫌なら、プライバシー管理機能のページを開き、「新機能の開発に貢献する」というスイッチをオフにすればいい。

にもかかわらず、同ニュースが注目を集めたのは、会話の一部を従業員間で共有していたという証言が得られたためだ。

音声アシスタント機能は、ユーザーからの指示を受けるために常に「聞き耳を立てている」必要がある。利用者は、人ではなくAIが聞いているのだからと安心して利用しているのに、その録音を従業員が業務とは関係ない目的で聞いているとしたら困ったことだ。

同社がAlexaに話しかけた言葉を消去する機能を強化したのには、これら意識の低い従業員の行為を許していたことへの反省もあるのではないだろうか。

サービス利用時には「消す」ことを意識しておくことが大切

ネット上に記録された個人のデータを「消す」ことの重要性は、今後、ますます高まっていくことが予想される。

ネット上、クラウド上に記録されている私たちの個人データは、Alexaのような音声アシスタントが収集したデータだけではない。

FacebookやTwitter、LINE、InstagramなどのSNSをはじめ、Gmailなどのクラウドメールサービス、Amazonや楽天などECサイトの購買履歴、Googleマップなどの地図サービスが収集する移動履歴、スケジュール管理、金銭出納記録、写真・映像データの保存サービス……。YouTubeやnoteなど、収入を得る目的で開設したアカウントもあるだろう。

酔った勢いでSNSで暴言を吐いてしまった、盗撮された画像がネット上に勝手にアップされてしまった、アカウントを乗っ取られて勝手な書き込みをされてしまった、サービスを利用していた家族が亡くなってしまった……。消したくなる理由も様々だ。

近年では、GDPRなど個人情報保護関連の政策への対応を進めるため、サービスの提供側も、個人のデータを「消す」機能の在り方を模索。すでに死後のアカウント閉鎖方法などを実装しているサービスもある。

今後、ネット上で提供されるサービスを利用する際には、「消す」ことを意識し、どんな手段があるか事前に把握しておくことが大切だ。


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