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サラダボウル屋とウェルネス、そしてCXの行方【連載】浮上せよとメディアは言う〜編集長コラム(3)
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  • 2019.05.31
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サラダボウル屋とウェルネス、そしてCXの行方【連載】浮上せよとメディアは言う〜編集長コラム(3)

Photo By Shutterstock

ロサンジェルスを歩きながら、ふと気づいたこと

4年ほど前、LAを訪れた。泊まったのはサンタモニカのホテルで、海まで長い距離の砂場が続くビーチがすぐそばにあり、いかにもカルフォルニアという雰囲気を楽しんだ。ホテルを離れ、サンタモニカの町を歩いているとあるストリートが、フィットネスジム、ヨガスタジオ、またフィットネスジム、ヨガスタジオ……という風に延々と並んでいて、いまどきのヒップなアメリカ人の(狂気にも似た)健康志向を垣間見ることができた。

そのストリートの中に、サラダ専門の店がいくつかあり、ボウルの中に山盛り一杯の好きな野菜を入れて、ヘルスコンシャスな巨漢の男性やスレンダーな女性たちが食べていた。

「これは日本ですぐに流行る!」

そう思ったものだった。ウェルネスの波は必ずアメリカから日本にやってくる。かつてのパワーヨガのように。

で、ここまで書いて、ウェルネスについて述べたいわけではない。

CX(カスタマー・エクスペリエンス)という言葉と概念が最近注目されていることを本稿では述べたいと思う。

先日、CX関連のイベントに出た際、「CXを感じたことはあったか?」という質問がモデレーターから僕に投げられた。うーむ、と悩んだのだが、その際、答えたのが、冒頭のウェルネスストリートとサラダボウル屋だったのだ。

CXとは「顧客体験」と訳されるが、要は商品やプロダクトやサービスの購入後のプロセスや利用時に顧客が体験する、「寛ぎ」「心地よさ」「驚き」「感動」などの、感覚的だったり情緒的だったりする、数値化できない付加価値のことである。

CXで一番最初に浮かぶのはクルマだ。もはやクルマは移動手段というだけでなく、運転している時間、もしくは乗っている時間にどんな感情が生まれるのか、心地よさを感じられるか、が勝負の分かれ目になっている。自動車メーカーもその辺はよく理解していて、単なる「足」から、良きCXを顧客に与えるプロダクトをつくればよいのかという競争になっている。

一度だけだが、テスラの電気自動車に乗ったことがある。僕にとってはクルマは単なる乗り物でしかなかったが、運転していることの快楽を味わったのは初めてだった。テスラモデルSはアクセルペダルを踏み込んだ直後に、いわばワープというか、前方へ瞬間移動する感覚を味わうことができた。これぞCXだろう。

また、プロダクトだけでなく、店舗もCXを測る格好の材料だろう。

今さら言うまでもないが、スターバックスは「サードプレイス」という概念を顧客に与えた。家でも会社でもない、第三の場所。そして、そこが居心地がとても良いこと。これもまたよいCXだ。だから、スターバックスは単なるコーヒーショップではなく、現在までの繁栄を築けたのだ。

話はまた遡るが、人生100年時代と言われる今、人々は前世紀とは考えられないくらい健康志向になった。ジムで鍛えたり、ヨガで身体をほぐした後、サラダを腹一杯食べる。ウェルネスにおけるCXをサンタモニカのストリートに見た僕は、東京にもこういう通りがあったら行くのに、と思うのだった。

そして、誰もやらないなら、いっそフィットネスジムやヨガスタジオの経営者に「サラダボウル屋やりません?」と話を持っていこうかなんて思っている。本気で誰か一緒にやりません?(笑)。吉野家もライザップと組んで「ライザップ牛サラダ」というメニューを始めましたよ!


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