EVENT | 2019/05/21

お値打ちステーキで接待をハレの場にする銀座「イルモーロ」【連載】ハズさない!接待メシ(5)

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ステーキと言えばアメリカ料理のイメージが根強いのではないだろうか。だが、今回紹介する「イル モーロ...

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ステーキと言えばアメリカ料理のイメージが根強いのではないだろうか。だが、今回紹介する「イル モーロ」はイタリアのステーキハウス、すなわち「ビステッケリア」だ。美味しい熟成肉も、イタリア料理も楽しめ、しかも場所は銀座のど真ん中。一等地のレストランにふさわしい上質なビステッカ(ビーフステーキ)にありつけるのに、お値段は控えめという、秘密にしておきたくなるとっておきの一軒だ。

トップ画像デザイン:大嶋二郎

チェリー先生

食べ歩き部・部長

東京生まれ東京育ち。10代では外食好きな家族と、20代では目上の方々にあまたの東京レストランガイドをしていただき、30代以降は自分で開拓するのが楽しくなり、あらゆるスタイルの「外食」を楽しんできたグルメ女。プロならではのこだわりが見える瞬間、女王様気分を味わえる接客、味というよりも人に惹かれる瞬間などに魅力を見出し、レストランの楽しみ方を広げている。

「イル モーロ」は旧プランタン銀座に程近い商業ビル・銀座ベルビア館のレストランフロアに位置するが、店内に入ると商業ビル特有のにぎやかさが嘘のように、モダンで開放的な空間が広がる。トスカーナ地方らしい石の壁がシックなメインダイニングを抜けると、もうひとつ、大きな窓にブルーの椅子が映えるスタイリッシュなダイニングが現れる。人数や会の雰囲気によって空間を使い分けられるのも、接待の幹事にとっては嬉しいところだ。

ディナーコースは8500円から。だが、ビステッケリアならではのTボーンステーキが楽しめる1万円のコースがお勧めだ。この日はブラックアンガスビーフを600g(2人前)用意してもらった。塩、こしょう、オリーブオイルだけで焼き上げるビステッカはシンプルだからこそ、真価が問われる。

イタリアで修業したシェフが炭と薪を使い分けて焼き上げる熟成牛は、骨付きで豪快な見た目のインパクトもさることながら、専用熟成庫で肉に合わせてじっくりとドライエイジングしただけあって、なめらかな舌触りと噛み締めるごとに広がる旨味が特徴的だ。

6種類から選べるソースもあるのだが、サーロイン、フィレと部位を分けてサーブされる肉をまずは、何も付けずにそのまま味わってもらいたい。霜降り肉にはない、赤身肉ならではの切れ味の良い繊細な旨味に加え、脂のバランスが絶妙だ。コースだと、肉が登場する頃にはすでにお腹が満たされてしまうこともあるが、ここの肉は不思議な程、するすると胃袋に収まってしまう。

イタリアの赤ワインも豊富に揃っているので、熟成牛に合うタンニンが軽めのものを選んでもらうといいだろう。接待ではありがちだが、ワインで予算オーバーという事態を避けるためにも、店のHPに記載のワインリストを事前にチェックしよう。種類豊富なワインリストの価格がきちんと掲載されている点も良心的と言えよう。

このビステッケリア、肉以外のメニューも充実している点がすばらしい。しかも、メイン以外も抜かりない完成度だ。自家製の手打ちパスタをはじめ、旬の鮮魚や野菜を楽しめる前菜にも、イタリアンレストランとしての実力の高さが感じられる。今回は紹介していないが、日本人シェフならではの繊細で美しい「野菜のパフェ」もお勧めなので、ぜひその美しさを実際に確かめてみてほしい。

ハレの日の食事として、いつの時代も人気のステーキ。ステーキを食すというスペシャル感が一層増すのは、銀座という街が持つ華やかさがあるからこそ。“銀座×ステーキ“の最強の組み合わせは、接待をハレの場へと昇華するにふさわしいのではないだろうか。

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BISTECCHERIA ENOTECA OSTERIA IL MORO(ビステッケリア エノテカ オステリア イル モーロ)