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文:岩見旦
エクアドルのアマゾン先住民であるワオラニ族は、先祖代々伝わる自らの熱帯雨林に対し、石油会社による採掘からの保護を訴えた裁判で勝訴を勝ち取った。エクアドル政府の思惑を見事打ち砕いた形だ。
700万エーカーの熱帯雨林の競売が停止
ワオラニ族は50万エーカーに及ぶ熱帯雨林を、石油採掘から保護することに成功。この面積は東京都に相当する。2012年に政府が実施したワラオニ族との協議プロセスは無効と判断されたためだ。さらに、700万エーカー以上の熱帯雨林から成る16の石油鉱区の競売を停止した。
パスタサ裁判所の3人の裁判官によって決定されたこの判決は、熱帯雨林保護と先住民の権利のための重要な先例となった。
「これはアマゾン全域の先住民の権利に対する重要な先例です。裁判所は、ワオラニ族の土地での石油採掘において、エクアドル政府の詐欺や悪意、そして操作的な戦略を認めました」と語るのは、ワラオニ族などの先住民の権利や環境問題に取り組む非営利団体のAmazon Frontlinesの代表ミッチ・アンダーソン氏。「これは、先住民の土地に対する権利が尊重されることへの戦いにおける大きな前進です。先住民の将来を決定し、破壊的な採掘プロジェクトに『いいえ』という権利を保証することは、アマゾンの熱帯雨林を保護し、気候変動を止めるための鍵になります」と付け加えた。
先住民の権利を守る法的先例
ワオラニ族の原告の代表であるネモンテ・ネクイモ氏は『The New Yorker』のインタビューに「裁判所は、政府が私たちの自由な生活の権利を侵害していること、そして私たちの土地と自己決定について、私たち自身が決定を下すことを認めました。土地について私たちが決めます。私たちが所有しているので、石油会社がこの自然環境で破壊活動をし、私たちの文化を壊すことを許しません」と答えた。
また、パスタサのワオラニ族の広報担当オスワンド・ネクイモ氏は「私たちは、石油採掘から森を守りました。水を汚染から、病気から子どもたちを守りました。これは先住民の権利を守る法的先例となります」と述べ、「しかし、戦いはまだ終わっていません。政府は、私たちの土地の下にある石油を求めて、訴えるでしょう。アマゾン、そして世界中の先住民は水からの家を守るため、結束しなければなりません」と決意を明かした。
経済的利益からないがしろにされがちな先住民の人権。この裁判の行方をこれからも見守り続けたい。