BUSINESS | 2025/12/18

生成AI活用の最前線が集結
「生成AI大賞2025」 グランプリはコロプラが受賞

エンタメから行政、製造業まで。
8件の先進事例が示した、日本における生成AI実装の現在地

FINDERS編集部

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「生成AIをどう使うか?」 実践知を競ったアワードの全貌

一般社団法人Generative AI Japanは、日経BPが発行・運営する経済メディア 「日経ビジネス」 と共同で、生成AIの優れた活用事例を表彰する 「生成AI大賞2025」 を開催し、グランプリを含む全8件の受賞プロジェクトを決定した。本アワードは今年で2回目の開催となり、生成AI分野の有識者で構成された審査委員会による厳正な審査を経て選出されている。

グランプリに輝いたのは、株式会社コロプラによるゲームタイトル 「神魔狩りのツクヨミ」 だ。生成AIをゲーム体験の中核に据え、ユーザーの行動を起点に唯一無二のカードが生成される仕組みを実装。エンタメ領域では慎重論も多い生成AI活用において、著名クリエイター金子一馬氏とともに独自AI 「AIカネコ」 を開発し、新たな体験価値を提示した。リリースから2カ月で生成カード枚数は160万枚を突破し、生成AIを前提とした新ジャンル 「生成ゲー」 の可能性を示した点が高く評価された。

特別賞には、生成AIを人に寄り添わせる形で活用した2つの事例が選ばれた。株式会社SHIFTは、生成AIと社内BPOを組み合わせることで障がい者雇用の在り方を再定義。業務の徹底的な分解とAI適用により、生産性を1.7倍に高めるとともに、従来は難しかった業務に挑戦できる環境を実現した。株式会社Shippioは、国際物流というアナログ業務の多い現場でAIエージェントを導入。司令塔AIと専門AIが連携する多層構造により、定型業務の7〜9割を自動化しつつ、現場主導のDXを推進している。

優秀賞には、教育、行政、製造、医療、企業経営といった幅広い分野から5件が選出された。デジタルハリウッドは、生成AIを 「答えを出す存在」 ではなく 「問いを生む存在」 として位置づけ、学習者に伴走する教育AI 「Ututor」 を展開。東京都町田市は、マルチ生成AIプラットフォームを活用し、行政サービスをアジャイルに進化させる取り組みを評価された。中原製作所は生成AIによる事業承継の可視化に挑み、三菱電機デジタルイノベーションは薬剤師業務を支援する生成AIサービスを実装。日本電気株式会社は、AIベースで業務プロセスを再構築し、意思決定サイクルを大幅に短縮する成果を上げている。

今回の受賞事例に共通するのは、生成AIを単なる効率化ツールとしてではなく、組織や社会の構造そのものを見直すための基盤として捉えている点だ。エンターテインメント、公共、産業、教育と分野を超えた実践は、日本における生成AI活用が次の段階に入りつつあることを示している。

生成AI大賞2025は、こうした先進事例を共有することで、日本全体の生成AI実装を加速させることを目的としている。今後、各受賞プロジェクトの知見が社会にどのように広がっていくのか、その動向にも注目したい。


生成AI大賞2025
主催:一般社団法人Generative AI Japan
共催:日経ビジネス
後援:経済産業省、文部科学省、デジタル庁ほか

公式サイト
https://generativeaijapan.or.jp/

日経BP
https://www.nikkeibp.co.jp/