CULTURE | 2022/06/16

モデル兼環境アクティビストの小野りりあんさんと、ユトレヒトの社会科見学をしてきました【連載】オランダ発スロージャーナリズム(44)

ヨーロッパではすっかりコロナ明けになったかのようなムード。特にオランダでは、もう街でマスクをしている人は見ませんし、コロ...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

オランダで一番サステイナブルなオフィス「UCo」に行ってみた!

オランダいちサステイナブルなコワーキングスペース。1920年代に建てられた鉄道修理工場を改装。全ての家具はリムーバブルで、レイアウト変更がフレキシブルにできる

さて、次はオランダで一番サステイナブルと言われるオフィス「ユトレヒトコミュニティ」へ遊びに行ってみました。1920年代に建てられた鉄道の修理倉庫を改装してできた、コミュニティスペースです。ここにあるコワーキングスペース、そしてコミュニティは筆者の経営するニューロマジックアムステルダムのパートナー企業で、サステイナブルコンサルティングとでもいうべき業界の世界のトップランナーでもあるExcept社が作り、自らも入居するオフィスでもあります。

ユトレヒトコミュニティの建物は地中の熱を室内に取り込みつつ、空気循環も効率的にできるので、この広さでも、とても寒い真冬のオランダにあって暖房いらず。高い天井に効率的に配置された多くの窓によって日中の光を効率的に取り入れるため、曇天や雨の日でも、ほぼ電気をつける必要もなし。エネルギー効率を極限まで高めています。もちろん、100%再生可能エネルギーのみを使用しており、全ての家具は、近隣で廃棄されたようなものを活用。使用されている木材も近隣の木を使用など、徹底しています。また雨水を使った水の循環も取り入れようとしています。

印象的だったのは、りりあんさんが、この建物に入ってすぐに「空気がいい!」と言ったことです。室内にもふんだんに置かれている植物は、空気を浄化する働きもあるとのこと。換気も完璧に行われているので、非常に快適な空間です。環境への配慮を突き詰めていくと、自然と建物の中の空気が良くなり人が過ごしやすい空間へと変わっていくのか、と驚きました。

個人のフリーランサーから、中規模の企業まで150社ほどの企業が入居していますが、全社、何らかのサステイナブル関係の仕事をしており、このコミュニティの中でも次々とコラボレーションが生まれているそうです。

こちらはコロナ前から稼働していましたが、最近は人がオフィスに戻ってきて、ようやく以前のような活気を取り戻し始めたそうです。もし見学したいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ筆者にお声かけください。日本でも参考にし、取り入れていける部分が多いかもしれません。

そうそう、街の中にはリノベ物件が多数あります。元教会や銀行をバーにしてしまったり、元裁判所をホテルとして使った例も。オランダではリノベーションした物件をどのように使うのかはかなり自由です。一方で、日本では、法律によってある程度の用途制限があるために、なんでもかんでも好き勝手にできるわけではありません。もしかしたら、こうした法規制を緩やかにする、あるいは変えることで、街のあり方を少しずつ変えていけるかもしれません。

りりあんさんは、ユトレヒトを訪問した感想として「快適な街づくりに市民が参加しているんだなと感じました。そして、積極的に深く物事をリサーチして意味いあるものを生み出す姿勢にも感動しました」ということを話していました。

今は世界的にスピードを持って、サステイナブルにシフトすることが求められています。日本も例外ではなく、たくさんの企業が「SDGs」や「サステナビリティ」といった言葉を使っているのですから、皆さんの住んでいる街でもこうした取り組みはたくさんあるかもしれません。まずは身近なところに目を向けることから始めてもいいかもしれませんね。

室内にある多くのグリーンは空気清浄の役割も担っています


過去の連載はこちら

prev