食後の散歩が理に適っている理由
健康になるための食事法とは、血糖値をコントロールすることと同義。そしてもちろん、運動だって大切です。
人の体はエネルギーを作る際、脂肪よりも先に糖を優先して消費します。つまり、脂肪の燃焼が始まるのは、ケトーシス(脂質代謝)になっている状態や摂取カロリーが活動量より下回る時など、使える糖がなくなってからということになります。
これは家庭の冷蔵庫に例えるとわかりやすいでしょう。冷蔵庫に納められている食材が糖で、冷凍庫に納められた食材を脂肪と仮定した場合、日々の買い物の量よりも消費のほうが多ければ、冷蔵庫の食材は徐々に目減りしていきます。
そして、冷蔵庫の中身が不足してくると、人は次に、冷凍庫にストックされている食材を解凍してその場を凌ぐことになります。つまり、摂取カロリーと消費カロリーの差分がストックを払底させた時、人体はようやく脂肪を使い始めるわけです。
といっても、無理にハードなトレーニングを行なう必要はありません。たとえば、食事をして糖を蓄えた直後に、20分歩くだけで十分な効果が得られることが研究から判明しています。外食の場合なら、帰りに1~2駅手前で降りて歩くようなことを習慣づけるのもいいかもしれませんね。
つまりまとめると、お酢や海藻などインスリンの働きを正常化させる食材を意識的に摂取し、スマホやテレビなどを遠ざけて咀嚼に専念し、食後になるべく歩くことを心がけるだけで、健康度は目に見えて上がっていくはず。
食事は毎日必ず摂るものですから、こうした習慣を組み込むだけで、高い効果が期待できます。まずはインスリンの働きを理解して、いますぐできることから改善に取り組んでみてください。
(つづく)
引用文献
食事中のスマートフォン:「Using Smartphones When Eating Increases Caloric Intake in Young People: An Overview of the Literature」
TRFがメタボに与える好影響:「Ten-Hour Time-Restricted Eating Reduces Weight, Blood Pressure, and Atherogenic Lipids in Patients with Metabolic Syndrome」
食前よりも食後20分のウォーキングが血糖値を下げる:「Postprandial walking is better for lowering the glycemic effect of dinner than pre-dinner exercise in type 2 diabetic individuals」