CULTURE | 2022/01/07

坂本龍一「戦メリNFT」の購入者が語る「特別な関係」、NFTだからできる新しいマネタイズ【連載】NFTが起こすデジタルアートの流通革命(13)

NFT王子さんが購入したNFT

足立 明穂
ITトレンド・ウォッチャー、キンドル作家
シリコンバレーで黎明期の...

SHARE

  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • line

購入した人にしか分からない「特別な想い」

「これまで聞いてきた曲が、ものすごく美しい曲に聞こえるようになりました」

今回購入されたNFTの音自体は、たった1音。ですがご自身でも想像しなかった心境の変化が起きたそうです。

「これまで何度もこの曲は耳にしていましたが、NFTを手に入れてからこれまで感じてなかった美しい曲に聞こえるようになりました。特に自分が購入した音が鳴る時は、ものすごく感動します。これは、NFTを購入した人にしか分からない想いです!」

NFTを購入したことで、CDやmp3データなどを買うだけでは得られない、坂本龍一さんとの特別な関係になったような気がして、戦メリの曲が流れるたびにその想いが蘇り感動するそうです。まさに、ここがNFT作品の醍醐味で、「自分がこれを持っているのだ」という特別な状態だからこその感情が沸き起こってきます。

なかなかこれは理屈では分からないことですが、例えば、恋人からプレゼントされたボールペンとか、子供からプレゼントされた靴下とか、こういうものってものすごく特別な感情が沸き起こりますよね。たとえそれが、コンビニやスーパーで売っているようなものであっても。

もちろん、投資目的でNFT作品を買うというのも、それはその人の価値観なので否定するものではないですが、一方で、今回のNFT王子さんのように購入したからこそ分かる「想い」は値段では決められない価値があります。「確実に1万円以上の価値はあるし、100万円で売ってくれと言われても、売りたくないですね」(NFT王子さん)という唯一の価値を持つもの=NFTとなるのです。

「NFTが広がってクリエイターが活躍する世界になってほしい」

最後にニックネームを「NFT王子」にまで変更して、今後、どのような活動をしていきたいのかお伺いしました。

「NFTでアーティストの人たちが作品を世の中に販売して、興味のある人達が購入するようなクリエイター・エコノミーが回るようになってほしい」との回答でした。まだまだ日本では、美術でも音楽でも、新人のクリエイターが作品制作だけで生活できるようになるのは難しい状態です。これを変えていきたいというのが、NFT王子さんの考えていることで、NFTを使えばできるのではないかと思っているそうです。

そのためには多くの人がNFTに触れる機会を増やさなければいけないし、現時点では、まだまだNFTという言葉は知っていても何か分からない、人によっては怪しいとも思っている人もいるので、clubhouseなどでの活動を中心にNFTの正しい理解、そしてNFT作品を持っていることによって得られる『想い』を伝えていきたいとのことでした。

今後のNFT王子さんの活動に注目です!


過去の連載はこちら

prev