今年は夏休みもシルバーウィークも遠出することもままならず。
巷ではGo To トラベルキャンペーンをやってはいるものの、旅行に行くのも憚られる雰囲気もあり、トリップしたい欲望を抱えている人も多いはずだ。
それならば、世界の味覚が集まる東京で異国気分を味わうのはどうだろう。
今回紹介する持ち帰りメシのジャンルは、東南アジア・バングラデシュと東欧ベラルーシの2つの国から。
まずは、現地の味にこだわり、食材のみならず梱包材までバングラデシュから輸入している、神田「ベンガルカレーファクトリー」。さらに、森に囲まれた国ベラルーシの家庭料理そのままを旧ソ連諸国出身のスタッフが提供する、麻布台「ミンスクの台所」。
手軽なテイクアウトを利用して、アジアと東欧のマニアックな2国へ飛んでみよう!
チェリー先生
食べ歩き部・部長
東京生まれ東京育ち。10代では外食好きな家族と、20代では目上の方々にあまたの東京レストランガイドをしていただき、30代以降は自分で開拓するのが楽しくなり、あらゆるスタイルの「外食」を楽しんできたグルメ女。プロならではのこだわりが見える瞬間、女王様気分を味わえる接客、味というよりも人に惹かれる瞬間などに魅力を見出し、レストランの楽しみ方を広げている。
バングラデシュ料理「ベンガルカレーファクトリー」の弁当「マトンビリヤニとコカコーラのセット」1500円
ベンガル地方・バングラデシュのカレーやビリヤニを出すマニアックな店として、カレー好きの間では有名店な「ベンガルカレーファクトリー」。自粛要請期間の休業を経て、テイクアウトとデリバリーの専門店に生まれ変わった。
ドアは足で開ける事が出来、商品の受け取りや金銭のやりとりは全て大きな引き出し経由という、コロナ対策万全の体制でのリニューアルだ。
メニューは何と1種類のみ。日替わりのビリヤニ(インド周辺国で食べられている炊き込みご飯)とコカコーラのセットだけ、と言う潔さだ。バングラデシュの首都ダッカの、昔ながらのスタイルのビリヤニが楽しめるセットだ。
バングラデシュの国旗のごとく、賑やかな赤×緑のカラーが目を引く。
店主にスッと差し出された緑の引き出しの中には、蛍光オレンジの網袋に入ったセットが。このネット状の手提げ袋も、昔の駅弁のようなどこか頼りない紙製の弁当箱も、すべてバングラデッシュで作ってもらい取り寄せているそうだ。
受け取った瞬間から、異国の食堂に来てしまったかのような楽しい錯覚に陥る。
紙コップの中には、バングラデシュの紅茶のティーバックとお砂糖、青唐辛子やレモンの付け合わせが。
香辛料でマリネした肉をバスマティスライスと共に大きな釜で炊くのだが、蓋を開けてみると思ったよりも薄い色で、香りも強くない。
だが、スプーンからこぼれ落ちるほどハラハラとした米をひとくち口に含むと、優しいスパイスの芳醇な香りに包まれる。具は少ないが、ギーのコクと骨付きマトンの風味が米にも染み渡り、後からゆっくりと追いかけてくる辛さも心地良い。
バングラデシュではビリヤニとコーラの組み合わせが定番と言うが、マイルドな辛さとマトンの脂と、コーラが実によく合うのも意外な発見だ。
本場では付け合わせの青唐辛子をかじりながら食べると言うが、これが驚きの味変に。
唐辛子で支配された口の中にビリヤニを頬張ると、さっきまで感じなかったフルーティーな甘味が押し寄せ、アクセントとして入っているアルボカラ(プラムの様な実)の甘さにハッとさせられる。
14×14×4cmの小さな箱だと侮っていたら、かなりのボリュームで満腹に。シメに付属の紙コップで濃い目の紅茶を味わっているうちに、気分は未知なるバングラデシュへ。
お腹が一杯なせいだろうか? 大らかで人懐っこいと言われているベンガル人のように、午後はゆったりとした気分で過ごせそうだ。
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