文:神保勇揮
目的地までのルートにある「日陰の道」がわかるサービス
「TOKYO OASIS」のWEB版画面
東京・大手町、丸の内、有楽町地区、いわゆる「大丸有エリア」のまちづくり団体である大丸有環境共生型まちづくり推進協会(エコッツェリア協会)は、同団体が事務局を担うGreen Tokyo 研究会を通じて、涼しい快適な外歩きを提案するWEBサービス「TOKYO OASIS」の実証実験を7月27日から行っている。
同サービスは、大丸有地区の環境情報などをデータベース化した情報プラットフォーム「大丸有環境アトラス」をリアルタイムに可視化・シミュレーションし、快適に過ごせる空間(ルート・場所)の情報を発信するという内容。
今回の社会実験では「涼しさ」を切り口とし、時間帯ごとの建物や街路樹の日影情報をもとに、現在地から「OASIS SPOT(=快適に過ごせる場所)」までの涼しい快適なルートを検索できるようにした。コロナ禍でのマスク着用の影響や、外出自粛で暑さに慣れない人々の熱中症を防ぎながら、自然環境を活用した酷暑対策の一環として快適な外歩きを提案する。サービスの使い方ページはこちら。
サイトにアクセスすると、赤色で現在位置(写真だと東京駅丸の内駅前広場付近)と、周辺のOASIS SPOT(青い円)が表示される。
OASIS SPOTの円をクリック/タップすると、その場所の写真と公式サイトへのリンクが表示される。ここで「ルート検索」を押すと、現在地から目的地までのルートがわかる。
ここまでは他の地図アプリ・サービスと同じなのだが、TOKYO OASISの特徴は右上の太陽のボタンを押すと、地図上にグレーの「日陰になっているエリア」が表示されるところだ。画面上部に時間帯のバーも表示され、朝5時から17時までの日陰エリアを探すことができる。また、画面の一番右上のネジマークを押すと、ルート検索方法も「涼しいルート」「最短ルート」の2つから選べる。
本稿ではTOKYO OASISを使って、8月13日に東京駅丸の内駅前広場から和田倉噴水公園まで涼しいルートを選びながら実際に歩いてみた。
この日の最高気温は36度。直射日光が辛く、立っているだけで汗が吹き出す。日陰を歩くと如実に楽になるので快適なルートを選びたい。
現在地からだと、まずは新丸ビル(地図の右側)か丸ビル(左側)の間を通るルートとなるが、最短ルートからは少し外れるものの、丸ビル側の歩道(赤丸部分)がグレー、つまり日陰があると表示されており、こちらを通った方が良さそうだ。
新丸ビル側の歩道
丸ビル側の歩道
各所に設置されているミスト散布ゾーン。気休め程度かと思いきや、通ってみるとかなり涼しくなる
目的地までグレー表示の道を歩いていくと(写真はこの赤丸部分)、確かに全てちゃんと日陰を通れるルートとなっていた。
そして目的地の和田倉噴水公園に到着。やはり日向部分は猛烈に暑いのだが、併設のレストランで噴水を眺めながら休憩すれば気持ちよさそうだ。
TOKYO OASISは現時点では大丸有エリアのみでOASIS SPOTおよび日陰エリアの表示を行っているが、データさえ揃えば他のエリアでも展開は可能だろう。「日陰スポットがわかるだけでそんなに変わるかな?」と思う人もいるかもしれないが、ほとんど体温と同じような“地獄の猛暑”が続く昨今、頭で意識しながら日向・日陰を歩き比べてみれば誰もが体感できると思うし、そのためだけに多少遠回りしてもいいかなとさえ思える。今後のサービス発展にも期待したい。