経済が成長し、教育サービスへの期待が高まるASEAN諸国
みずほフィナンシャルグループ「MIZUHO Research & Analysis no.12 特集 成長市場ASEANをいかに攻略するか—多様性と変化がもたらす事業機会を探る—」内の「Ⅲ. 成長市場ASEANで起こる変化とビジネス機会の所在」より
マレーシア、あるいは東南アジアのASEAN諸国での教育事業がどれだけ盛り上がっているかという話もしたいと思います。
東南アジアのASEAN10カ国は総人口が約6.5億人、子供が多く経済成長とともに中間層が増加し民間教育市場は28兆円。毎年7~11%の成長が見込まれています。所得増に伴って高まる教育熱の一方で、マレーシアでは未だに質の高い公教育を受けるための整備が十分ではありません。英語を話せるメイドさんの平均賃金が月3万7000円なのに公立小学校の先生はそれより低い3万4000円です。こうした傾向は他のASEAN諸国でも同様で、教育熱心な親御さんが習い事を受けさせるモチベーションがどんどん上がっているんです。
ASEAN主要都市の各家庭における習い事支出額と受講率は、参考までに東京のデータだと受講率が52%で平均単価は月1万5000円なんですが、クアラルンプールだと70%近くで平均単価1万円、バンコクは80%以上が1万円以上。ジャカルタ、マニラなど相対的に平均収入が低いところでも7~8割が月7000円以上を使っています。これらの国々は親日国も多く、公文や七田式など、日本式教育の信頼感も高いため、ある種の“日本ブランド”によるブーストが期待できるという点もあります。
こうした国々でも、保護者の間では「何をやらせれば良いのかわからない」という課題がありました。そこに「才能を可視化する」というトイエイトのサービスがマッチするのではと思ったのです。
今年に入ってからは日本法人も立ち上げ、国内ベンチャーキャピタルからの資金調達を行い、オンラインサロン「こどもの才能発見LAB」も立ち上げました。まずはマレーシア、そしてASEAN諸国をターゲットとしていますが、日本でも事業展開の打診などがあるので柔軟に考えています。
昔から文字を読むのが苦手で、本当はグループワークや対話から学びを深めるのが好きな自分にとって、これから成長していく子どもたちの人生の評価すべてが教室に座って教科書を読む際の態度や、定期的なペーパーテストの結果からだけで判断されてしまうと思うとゾッとします。学校や受験のテスト結果が子どもの人生を大きく左右してしまうのは大きなロスです。
だからこそ、トイエイトでは画一的な評価の時代から、より多様なものさしで評価される時代を作ることをミッションとして掲げています。もちろん今の学校で評価されることも才能だし、評価されなければ必ず備わっている他の才能を個性として評価して伸ばす。これだけあらゆることが多様化されて最適化されている21世紀なので、「才能を知って伸ばす」ということが、どんな親御さんや教員でも当然のスタンダードになっていくように猛進していきたいと思います。
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