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文:滝水瞳
米国で黒人男性が警官に取り押さえられ死亡するという痛ましい事件を受けて、世界で抗議デモが行われている。
そんな中、ポール・マッカートニーが、ザ・ビートルズが60年前に行われたコンサートのエピソードを披露し、話題を集めている。
契約書の条項に「人種別に分けられた観客の前で演奏する必要はない」
マッカートニーは6日、自身のTwitterに抗議デモを支持するコメントを発表。人種差別に対して何ができるかみんなが模索しているとした上で、「迅速な解決策はないけれど、僕らは変わる必要がある」「僕らはもっと学び、もっと聞き、もっと話し、もっと自身を教育し、そしてなによりも行動を起こす必要がある」と投稿した。
さらにマッカートニーは、ザ・ビートルズが1964年9月のアメリカでのツアー中に、ジャックヴィルの人種別に観客を分けたコンサートを拒否したと明かした。
「観客を人種別で分けられているのは間違っていると感じた。『僕たちはやらない!』と言ったんだ。それで僕たちは、観客にとって初めてとなる分けられてないコンサートをやった」と明かし、コンサートを拒否した行動について「僕らにとっては当たり前のことのように思えた」と伝えている。この投稿は2万件以上のリツイート、7万件の「いいね」を記録した。
音楽情報サイトの『UCR』によると、公共施設で人種別で分ける方針は同年7月に米国で制定された公民権法に違反していたという。ザ・ビートルズは、この要請があったコンサートの5日前に「黒人がどこにでも座ることが許されない限り、私たちはライブには登場しない」とする声明を発表。メンバーのジョン・レノンも「僕らは人種別に分けられた観客には演奏しない」と言い、当時の主催者らは売り上げを失ってしまうと落胆したという。
このコンサートの一件以降、ザ・ビートルズは観客の人種別による分けないよう要求するようになった。1965年にサンフランシスコで行われたコンサートの契約書の条項には「アーティストは人種別に分けられた観客の前で演奏する必要はない」と書かれている。この契約書は2011年にオークションにかけられ、当初の予想金額をはるかに上回る2万3000ドルで落札された。