CULTURE | 2020/06/12

コロナ対策とエンタメ性の両立!?観客含め全員が巨大風船に入ったフレーミング・リップスのライブ映像が話題に

文:神保勇揮
ディストピア的でもあるがそれでもにじみ出る多幸感
アメリカのベテランロックバンド、フレーミング・リップ...

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文:神保勇揮

ディストピア的でもあるがそれでもにじみ出る多幸感

アメリカのベテランロックバンド、フレーミング・リップス(The Flaming Lips)による最新ライブ映像が「新型コロナ対策とエンタメ性を両立した演出」としてネットで話題になっている。

この映像はアメリカの深夜トーク番組『The Late Show with Stephen Colbert』で放送されたもの。楽曲はバンドの代表曲のひとつ「Race For The Prize」で、YouTubeの説明欄によると昨年リリースされたライブ盤『The Soft Bulletin: Live at Red Rocks (feat. The Colorado Symphony & André de Ridder)』(2016年にコロラド交響楽団と共演し行った、アルバム『The Soft Bulletin』の全曲再現ライブ)のトラックを使用しているようだ。

これまでのライブでは、(全てではないものの)1曲目で同曲を演奏し、ボーカルのウェイン・コインが半透明の巨大風船に入って登場するという演出が長年行われてきた。今回の映像ではウェインだけでなくバンドメンバー、観客全員がソーシャルディスタンスを保ち、マスクや手袋をしながら風船に入ってライブを楽しんでいる。

誰とも生身で触れ合えないというのはディストピアSFのようでもあるが、楽曲があまりにハッピーでピースフルであるため、映像を観ていると「これはこれで楽しそうだな」と思えてしまうナゾの説得力がある(余談だが、歌詞も「2人の科学者が栄光を掴み取るため、自らの犠牲も厭わず競争する」という内容だ)。

フレーミング・リップスはこれまでにも「4枚組のCDをそれぞれ同時に再生しなければ全貌がわからないアルバム(『Zaireeka』)を発売」、「1曲24時間の大作トラック(7 Skies H3)を制作」、「24時間の間に複数都市で8公演を行うギネス記録ツアーを実施」など、数多くの実験的な“伝説”を生み出し話題にもなってきた。

日本でもフジロック、サマーソニックへの出演をはじめ、幾度も公演を行っており、巨大な風船が数十個単位で飛び交う、現地ファンも含むコスプレ集団数十人をステージ両脇に配置してダンサーにする、奇抜な巨大セットや映像の使用などなど、楽曲が愛されてきたのはもちろんだが、多幸感溢れる独特のライブ演出にファンも多い。

筆者自身も「今回のライブではどんな演出があるんだろう」と毎回ワクワクしながら来日公演を観てきた。再び彼らのライブが観られることを楽しみに待っている。