文:仲田拓也
南アフリカにおよそ2万5000頭、生息しているサイ。これは世界全体のサイの80%にあたる。
そんなサイの密猟が2008年頃から増加している。『WWF』によると、過去10年間で約8000頭のサイが犠牲になっている。というのも、中国やベトナムでは、サイの角が高価な薬の原料となるからだ。そのため、サイの角はダイヤモンドと同じ価値を持つとも言われている。密猟対策に政府も乗り出しているが、なかなか効果を得られないのが実情だ。
しかし今、密猟からサイを守るための救世主として期待されている存在がいる。
犬の追跡成功率は約68%
南アフリカのクルーガー国立公園では、野生動物を保護する目的で訓練された犬のチームが組まれており、編成された2018年2月からこれまでに45頭のサイを密猟者から救ってきた。
チームに参加しているのは、ビーグルからブラッドハウンドまで、あらゆる大きさの犬種。誕生した時から南アフリカ野生動物大学で訓練を開始し、生後18カ月で本格的な活動をスタートさせる。
この大学で犬たちのチームの教官を務めるヨハン・ファン・ストラテンさんは『Mirror』の取材にこれまでの成果を述べ、「大学がパトロールしている地域では、犬を使用しない場合の成功率が3%〜5%に対して、犬を使用し自由に追跡させた場合の成功率は約68%まで上昇します」と語った。
ストラテンさんによれば、人間では追跡が不可能な地域でも、犬の場合は追跡が可能なだけでなく、人間よりもはるかに早い速度で密猟者を追跡することができるとのこと。