LIFE STYLE | 2020/06/08

心の病を抱えていた犬が97日間放浪し、65キロ離れた街に住む大好きな里親に会いに行った話

文:pickwick
太古の昔から犬と人間は強い絆で結ばれてきたが、それは現代でも変わらないようだ。
ある一匹の犬が...

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里親の家を探して3カ月以上も走り続ける

真冬で、気温が氷点下になる日もあり、ゼルダ搜索は難航した。

失踪から2カ月後、セントポールとチャナッセンの中間地点にあたるミネアポリスで、ゼルダらしき犬が目撃されたと連絡が入った。クルーガーさんは、ゼルダが自分の家に戻ろうとしていると気づき、何とか見つけて保護しようと決意した。

そして5月初め、とうとう自宅から数キロの路地にゼルダに似た犬が迷い込んだ。近所に住む住人が餌を与えて引きとめ、クルーガーさんに連絡を入れたのだ。そのおかげで、STARTのチームがケージを仕掛けることができた。

そして、15日の早朝4時半にその犬は捕らえられた。クルーガーさんは数分で保護現場に駆けつけたが、最初は本当にそれがゼルダなのか見分けがつかなかったという。ケージの中の犬は、記憶よりも痩せていて毛の色が薄かった。しかし、STARTが犬に埋め込まれたマイクロチップを照合したところ、ナンバーが一致。それは間違いなくゼルダだった。

「私はただひざまずいて泣いていました。何という奇跡でしょう」とクルーガーさん。「97日ぶりにゼルダと会えました。私は絶対に探し出すまで諦めなかったのよ。ずっと一緒に暮らそうねと約束しました」と付け加えた。

GPSにも地図にも頼らず、97日間かけて約65kmの距離を走り、大好きな里親の家に帰ってきたゼルダ。犬は不思議な感覚を持っているというが、帰巣本能が働いたのだろうか。それとも本当に、お互いの愛の力が犬と里親を引き寄せてくれたのかもしれない。


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