LIFE STYLE | 2021/07/02

生存確率0%! 妊娠21週で生まれた世界一早産の赤ちゃん、無事1歳の誕生日を迎える

文:山田山太
337gで生まれた超未熟児
リチャード・ハッチンソン君は昨年6月5日、米国ミネソタ州ミネアポリスのミネ...

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文:山田山太

337gで生まれた超未熟児

リチャード・ハッチンソン君は昨年6月5日、米国ミネソタ州ミネアポリスのミネソタ小児病院で生まれた。リチャード君の在胎週数は21週と2日間と、標準の40週と比べ圧倒的に早産で超未熟児。誕生時の体重はなんと約340g(11.9オンス)で、一般的な新生児の10分の1程度の体重しかなく、身体の大きさは大人の片手に乗るほどだった。

リチャード君は生後すぐに新生児集中治療室で過ごすことを余儀なくされた。新型コロナウイルスの影響もあり、両親はリチャード君に1日中付きそうことができなかったため、ウィスコンシン州セントクロワ郡の自宅から毎日1時間以上かけて病院へと通っていたという。

言うまでもなく、リチャード君の未来は決して明るいものとは思われていなかった。同病院の新生児科医であるテイシ―・カーン医師は「私たち新生児科のチームは、出産前のカウンセリングで、早産の赤ちゃんのリスクについて説明する際、リチャード君の生存確率は0%だということを伝えなければなりませんでした」と当時を振り返った。

しかし、リチャード君は驚くような生命力を発揮。新生児集中治療室で7カ月過ごした後、酸素吸入器やパルスオキシメーター、栄養チューブをつけたままではあったが、12月には退院。クリスマスは家族揃って自宅で過ごした。そして今年6月、医師たちの予想を超えて、めでたく1歳の誕生日を迎えたのだ。

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「最も早産で生き残った赤ちゃん」としてギネス認定

困難な状況から見事サバイブしてみせたリチャード君は、「最も早産で生き残った赤ちゃん」とし『ギネス世界記録』に認定。母親のベス・ハッチンソンさんは、「息子の面倒を見てくれた病院のスタッフたちのことが本当に大好きです。いつか息子にもこの素晴らしさを伝えられたらいいなと思っています。彼らは息子のことを『奇跡の赤ちゃん』と呼んでいましたが、私たちもそう思います」と喜びを語った。

コロナ禍において、今まで以上に注目を集める医師や看護師たちの奮闘が、リチャード君のような次世代の命をつないでいく。世界中の医療現場で活躍する人々に敬意を表するとともに、リチャード君の健やかな成長を願いたい。