CULTURE | 2021/05/27

赤ちゃんのいる大学院生のため、研究室内にベビーベッドを設置したマサチューセッツ工科大学教授が話題に

文:角谷剛
日本と同様かそれ以上に、米国でも育児とキャリアの板挟みで悩む母親は多い。高額な保育園費用を負担することがで...

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育児と社会の関りを巡る議論に投じられた一石

トロイ教授としてはいわば軽い気持ちで始めた試みであり、社会的な議論を呼ぶことまでは予想していなかったようだ。『Good Morning America』の取材に「あのツイートは私がケイティちゃんに会えてとても嬉しかったのと、彼女と遊ぶ機会ができたことが嬉しくて行ったものです。働く母親たちが直面する問題についての議論に発展するとは思っていませんでした」と述べ、「しかし、アカデミックの分野でも一般社会においても解決すべき問題ですので、何らかの役に立てたとしたら嬉しいです。私たちのコミュニティにおいてとても大切なことですから」と続けた。

また、母親のカレンさんはトロイ教授の配慮に感謝し、「ケイティをベッドに置いて、その間に急いで仕事を済ませることも、ちょっと様子を見に戻ってくることもできます。ケイティはそこでお昼寝もできます。とても助かっています」と語っている。

ただでさえ核家族化が進んだ昨今では育児中の親は世間から孤立しがちだ。新型コロナウイルス感染拡大による社会全体の閉塞感はその傾向にさらに拍車をかけている。マサチューセッツ工科大学研究室のような恵まれた環境を実現させることは誰にとっても容易ではないが、育児と職場の垣根を低くすることは、子どもたちが家庭の枠を越えて地域コミュニティの中で育つ、かつてのような社会に近づく1つのステップかもしれない。


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