文:金希瑛
ブランド名は娘の名前
カナダのトロントに住むルビー・アレクサンダーちゃん(12歳)は、トランスジェンダーの女の子。ルビーちゃんは出生時の性別は男の子であったが、3歳の時からお母さんのハイヒールやディズニープリンセス、ビヨンセの『Single Ladies』に惹かれ、9歳の時にカミングアウト。現在は女の子として生活している。そんなルビーちゃんが11歳の時、ある問題に直面した。トランスジェンダーの女の子にフィットする水着が見つけられなかったのだ。
ルビーちゃんの両親は水着を買ってあげたが、形が合わないせいで変な注目を集めてしまうのではないかと心配していた。旅行先でトランスジェンダーに対する理解があるのかなど不安だったという。
そこで、ルビーちゃんの父親であるジェイミーさんは、トランスジェンダーの子どもがいる家庭では同じような悩みを抱えていると考え、トランスジェンダーの女の子用の水着ブランドを立ち上げた。ブランド名は、娘の名前にちなんで「RUBIES」と名付けた。
ジェイミーさんは、ライアソン大学のテック・スタートアップの協力を得て、水着を開発した。従来のトランスジェンダーの女の子用の水着と異なり、スマートでスタイリッシュなデザインだ。ビキニの外側にスパンデックス、内側にメッシュライナーを使用し、優しく圧縮し包み込むような作りになっており、不快感もなく普通のビキニのような見た目になっている。
ジェイミーさんは「私がこれまで見てきたトランスジェンダーの女の子用の水着は、すべて前の部分にキルティングパッドが付いており、普通のビキニには見えませんでした。見た目も着心地も普通のビキニのようなものを作りたかったですし、トランスジェンダーの子どもだけでなく一般の子どもたちにも共感してもらえるブランドにしたかったです」と、『TODAY』のインタビューで語っている。
さらにRUBIESでは、ビキニにお金をかけられない家庭に水着を寄付できるように、クラウドファンディングも実施。Tシャツや下着の販売も手掛けるなど事業を拡大している。
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