CULTURE | 2021/04/28

新型コロナ感染探知犬、人間のおしっこから96%の精度で陽性者を識別。米大学研究チームが発表

文:竜胆総司
時には頼もしい相棒として、時には愛らしい家族として、人類の生活を古くから支え続けてきてくれた犬。彼らが現...

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文:竜胆総司

時には頼もしい相棒として、時には愛らしい家族として、人類の生活を古くから支え続けてきてくれた犬。彼らが現在猛威を奮っている新型コロナウイルスから、私たちを救ってくれるかもしれない。

そんな研究発表が今月14日、米科学雑誌『PLOS ONE』で公開され、話題を集めている。

ウイルスの量が少ない尿から、感染を識別できるか

優れた嗅覚を持つ医療探知犬は、がんやマラリアなど、人間の病気の臭いを嗅ぎ分けることが出来ることで知られている。新型コロナウイルスに関しても、犬が人間の汗や唾液のサンプルから陽性者であるか陰性者であるか、嗅ぎ分けられるという研究結果は過去に出ていた。しかし、それが尿で識別できるかは定かではなかった。なぜなら、尿に含まれるウイルスの量は比較的少ないからだ。

そこで、この謎に迫るべく、米国ペンシルベニア大学ら研究チームは実験を行った。協力したのは、8頭のラブラドール・レトリバーと1頭のベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの計9頭だ。犬たちはまずUDC(universal detection compound)という、自然界にはない化合物の香りを覚える訓練から実施。香りに反応することができれば、報酬を得られるという仕組みだ。

その後、尿のサンプルから新型コロナウイルス陽性者のものを嗅ぎ当てる訓練が行われた。サンプルは陽性者の7人(大人2人と子ども5人)と、陰性者の6人(子ども6人)からそれぞれ採取され、ウイルスは熱または洗剤によって、無害になるよう不活化した。

そして3週間の訓練の結果、すべての犬が平均96%という高い精度で新型コロナ陽性者の尿サンプルを特定できるということがわかった。特異度(陰性者の尿を陰性と識別する確率)は99%で、ミスはほとんど出なかった一方で、感度(陽性者の尿を陽性と判断する確率)は68%にとどまった。ただし、今回の実験では、陽性者のサンプルを一度でも見逃してしまったら失敗という、厳しい基準の影響が出ている可能性があるとのことだ。

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