CULTURE | 2021/04/07

今春さらに勢いを増す国民的芸人・サンドウィッチマン『M-1』優勝から本格ブレイクまで10年かかった理由とは?【連載】テレビの窓から(6)

イラスト:IKUMA

木村隆志
コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者
「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎...

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イラスト:IKUMA

木村隆志

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

「忖度なし」のスタンスで各媒体に毎月30本超のコラムを寄稿するほか、テレビ・ウェブ・雑誌などにメディア出演し、制作現場への情報提供もしている。人間関係コンサルタントや著名人専門のインタビュアーとしても活動中。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

今春もゴールデン昇格と新番組スタート

先月26日、伊達みきおがブログにつづった「膀胱がん」の公表は衝撃的だった。ステージⅠで手術を受け、すでに復帰しているにもかかわらず、ネット上に心配と応援の声が飛び交ったのは、サンドウィッチマンが好感度ナンバーワンのタレントだから。

その前日に東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレー出発式が行われたが、サンドウィッチマンが参加したことで開催を疑問視する声が一時的に和らいだことからも、その好感度がわかるだろう。いわゆる「好きな芸人ランキング」の1位常連は文字通り、伊達ではないのだ。

もちろんその前提には、芸人としての実力がある。『M-1グランプリ2007』(朝日放送・テレビ朝日系)優勝、『キングオブコント2009』(TBS系)準優勝の受賞歴に加えて、ダウンタウン・松本人志ら大物芸人たちも、その実力を絶賛。3月20日放送の『人生最高レストラン』(TBS系)でもビートたけしが「関東漫才の完成形。若いころ目指したのはあれ」「漫才の相方として組んでみたいのは伊達」と語ったばかりだった。

さらに、漫才とコントの二刀流芸人をフィーチャーする今春スタートの新番組『お笑い実力刃』(テレビ朝日系)のMCを務めることも、彼らがその先駆けであり、現役のトップであり続けていることを証明している。深夜帯で放送されていた冠番組『バナナサンド』が今春からゴールデンタイムに昇格することも含め、その人気が今なお上昇し続けていることに驚かされてしまう。

こうして書いていくと、何とも順風満帆の芸人人生に見えるが、あらためて振り返ると、『M-1グランプリ』優勝後も決してとんとん拍子に成功を収めたわけではなかった。むしろ、そこに現在の人気につながる理由が潜んでいる。

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