CAREER | 2026/05/16

「欠点も含めて、自分を愛してほしい」
14歳のフリーモデルが自己表現のランウェイで見つけたもの

連載 「自己表現で、人生が動き出す」
インクルーシブARTフェス 「WEAVE!」リレーインタビュー
第1回ゲスト:フリーモデルあんずさん

文・聞き手:荒牧しのぶ (コピーライター/WEAVE!共同主催)

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自分を表現することは、人をどう変えるのか。音楽、アート、ファッションを通して“違い”を価値に変える インクルーシブARTフェス 「WEAVE!」 の共同主催・荒牧しのぶ が、参加者や関係者のストーリーから、自己表現が人生にもたらす変化を見つめる連載。

第1回に登場するのは、モデル・俳優活動を目指す14歳のフリーモデル・あんずさんです。昨年、「WEAVE!」 の Share Me Runway に出演し、今年は2度目のランウェイへ。小学6年生の頃、「自分がどういう人間なのかわからなくなった」 ことをきっかけに表現活動を始めた彼女は、WEAVE!のランウェイで何を見つけたのでしょうか。

あんず

14歳。フリーモデル。

小学6年生の頃よりモデル活動を開始。撮影会やファッションショーへの出演を重ねながら、ジェンダーにとらわれない表現や、自分らしさを活かした作品づくりに挑戦している。2025年、インクルーシブARTフェス 「WEAVE!」 のShare Me Runwayに出演。今後は俳優活動にも挑戦予定。

荒牧しのぶ

コピーライター、コンセプト言語化講師

個人や企業のブランドコンセプト、ネーミング、ステートメント、インタビューなどを手がけるコピーライター。言葉になりきらない感性や経験をすくい上げ、その人や活動の“核”となる言葉へと編集する。 インクルーシブARTフェス 「WEAVE!」 では、共同主催としてブランディング・広報・コピーライティングを担当。音楽・アート・ファッションを通して、誰もが自分らしく表現できる場づくりに携わっている。

フリーモデルとして活動する、現在中学生のあんずさん

「正直、自分はモデルとしては全然背も足りていないし、モデル向きの顔立ちでもないと思うんです」

そう話すのは、埼玉県に住む 14歳のフリーモデル・あんずさん。

その言葉だけを聞くと、自信がないように聞こえるかもしれない。けれど、彼女が本当に伝えたいことは、自分を否定することではなかった。

「ポジティブな自分が大好き」 というあんずさん。若くして自分を客観視し、新たな世界にも挑戦し続けるそのメンタリティは、どうやって培われたのか。

モデルになりたかったわけじゃない。自分を探したかった

ーーフリーモデルの活動を始めたのは、いつ頃だったんですか?

あんず:小学6年生になったばかりの頃です。ちょうど3年前くらい。

最初はモデルや俳優になりたいって感じではなかったんです。その頃、自分がどういう人間なのか、わからなくなってしまって。それを探すために何かやってみようと思ったのがきっかけです。

ーー小学校6年生で 「自分がどういう人間なのかわからない」 という問いを持っていたこと自体に、驚きですよね。何かきっかけがあったんですか?

あんず: その当時、人間関係とかもうまくいかなくて。自分の中で、いろいろとよくわからなくなっちゃったというのがあって。

ーーそこから、モデル活動をやってみようと思った。

あんず: はい。ちょっとやってみる、みたいな。軽い感じの気持ちで始めました。 最初は個人で、写真を撮ってSNSで発信するくらいの感じでした。なんでもいいから、やってみようと。

その後、撮影会に参加するなど小さな挑戦を重ねるうちに、 あんずさんの世界は少しずつ広がっていった。

それは、夢への一直線のスタートというよりも、 自分を取り戻すための小さな一歩だった。

2025年4月 高円寺での撮影

うまく表情が出ない。それでも、表現することは楽しかった

ーー実際に撮影を始めてみて、最初はどうでしたか?

あんず: 最初は緊張もあって、表情もうまくできなくて。「どうしよう」 って感じでした。 自分ではできているつもりでも、実際写真が届いたら、顔に表情がないなーとか。もっとかっこよくポーズを決められているつもりだったのに、みたいな。

ーーそれで嫌になるというより、もっとどうしたらうまくできるんだろう、という方向にいったんですか。

あんず: 最初の1年ぐらいは、もうがむしゃらになんでもやる、という感じで。夢中でした。

続けていくにつれて、やっと自分も表情を出せるようになって、「楽しい」 と感じられるようになったんです。

ーー活動を続ける中で、今でも悩むことってありますか?

あんず: 学んだこととか、教えてもらったことの応用がうまくできなくて。自分の引き出しのなさには悩んでいます。

ーーもっとバリエーションが出せたらいいのに、という感覚?

あんず: はい。もうちょっとあった方がいいというか、「あるんじゃないかな」 って思ってるんです。

自分のイメージ通りのものがアウトプットできない。 それは、表現活動を始めた人なら誰もがぶつかる壁だろうし、職業としてアートやクリエイティブに関わる人たちは、常に持つ葛藤なんじゃないだろうか。

あんずさんは、大人のそれと同じように、悩みながら前に進んでいる。それが彼女の輪郭を少しずつ作っていく。

2025年2月 江ノ島の夕日をバックに撮影

「大阪まで行かせてください」 悩んだ末に、親に頭を下げてもやりたかったこと

撮影を重ねるうちに、あんずさんは少しずつ多様な表現をできるようになっていった。

自分の写真を見て、いいなと思える瞬間が増えていく。 発信を見て、応援してくれる人も少しずつ増えていく。

けれどその一方で、新しい壁にもぶつかっていた。

モデルプレスのオーディションに挑戦した直後のこと、いつもポジティブなあんずさんが珍しく弱音を吐いたという

「応援してくれる人がたくさんいて本当に嬉しかった。でも何も返せないのが辛い。結果が出せないことが申し訳ない」

そんなタイミングで、「WEAVE!」Share Me Runway のモデル募集が始まった。

「WEAVE!」 のランウェイは、通常のファッションショーとは違い、衣装を見せるのではない。モデル自身の自己表現のために歩くショー。主役はそこに立つ一人ひとりの個性や背景、そして「自分をどう表現したいか」。参加者は毎年一般公募で集められ、障害の有無や年齢、ジェンダーなど、さまざまな背景や個性を持つ人が登場する。

ーーWEAVE!のランウェイに出たいと思ったのは、どういう理由だったんですか?

あんず: キッズモデルをしている子って、ファッションショーに出ることが結構、当たり前のような流れがあって。でも私自身は、服なのか自分なのか、何を表現したらいいのかわからなくて。出る意味が見出せなかったんです。

そんな中で、主催のMIUさん、しのぶさんたちに出会って、WEAVE!の存在を知って。 私自身を表現するなら、ここしかないって思って応募しました。

ーーご両親に頭を下げてお願いしたんですよね。

あんず: はい。かっこいい空間が好きだし、私、自分のこともめちゃくちゃ大好きなので。 その自分がかっこよくいられる場所に行きたいって思って、お願いしました。

2025年のWEAVE!出演後、お母さんがInstagramに投稿してくれた文章がある。 そこには、あんずさんと家族に起きた変化が綴られていた。

「万一にも選出してもらえたら大阪まで行かせてもらえませんか」
あんずは私と主人に頭を下げました。

私と主人は涙が出ました。

出会いが人を変える瞬間を、目の当たりにしたのです。  
2025年WEAVE!の開催後に投稿された実際のInstagram
WEAVE!2025 Share Me Runway にてポーズで表現するあんずさん

「みんなすごい。自分に感動してる」 自己表現のランウェイで発見したもの

ーー実際にWEAVE!のランウェイに参加してみて、どう感じましたか?

あんず: 私以外の周りの人も、みんなすごくて。超いいし、可愛いし、みたいな感じでした。 でも私もそれに負けないぐらい、かっこいいんじゃない?って思って。

ーーそれって最高!

あんず: 私、自分のことめちゃくちゃ大好きなんです。自分が自分の一番のファンでいたいんです。

ーーもう、全員そのマインドでありたいですよね。ちなみに、自分の魅力ってどうしたら出せると思いますか?

あんず: とりあえず、はっちゃけるというか。自分の中の不安とかは置いておいて、ポジティブな部分を出す、というか。悩むのは、その後でいいやって。

ーーさすがポジティブ!

あんず: WEAVE!のランウェイでは、それこそみんなが自分に感動してて、輝いてるように見えました。とにかくすごい楽しかったです。

ーーすごくいい表現ですね。 自分が選んで、自分が立って、自分を表現したからこその感動だったんでしょうね。

2025年WEAVE!Share Me Runway 終了後のモデル参加者インタビュー

今年は、弱い自分も強い自分も全部出したい。

ーー今年は2度目のWEAVE!出演になります。今回は、どんな自分を見せたいですか?

あんず: かっこいいとか可愛いとかはもちろん、それ以上の魅力を出したいです。 弱い自分も強い自分も、全部出せるようにしたい。

ーーランウェイや、今後の活動を通して、伝えていきたいと思ったことはありますか?

あんず: 正直、自分はモデルとしては背が全然足りていないし、顔立ちも、モデル向きではないと思っています。だけど、それでも私は自分が大好き。

自分の欠点も含めて愛せる人に、みんななってほしいっていうのを広めたいです。

表現としても、いろんな面を見せられる大人になりたいし、 自分自身の経験を生かして、周りの人にいろいろ発信できる人になりたいです。

クールにも、キュートにも。振り幅のある表現で魅せるあんずさん 

「欠点も含めて自分を愛せる人に」

たった14歳でもこの言葉を言えるのは、

「自分ってどんな人間なんだろう。」

そう自分を見つめて、表現で人に伝えることをやめなかったからだろう。

昨年のWEAVE!出演後、あんずさんのお母さんはInstagramにこう綴っている。

「あんずは強く、強く、強く進んでいきます。 そしていつかきっと。 今度は自分が背中を押せる人間に、共に歩んでいける人間になれるよう。」

今年、2度目のランウェイへの挑戦。 あんずさんは今年、どんな表情でその場所に立つのだろう。

揺れ動くこころも受け止めて、すべてを抱えて歩く彼女の一歩を、ぜひ会場で見届けてほしい。

WEAVE!2025「Share Me Runway」を歩くあんずさん

インクルーシブARTフェス WEAVE!2026
開催日:2026年5月23日(土)
会場:大阪市なにわ区 YOLO BASE (JR新今宮駅徒歩5分)
開催時間:11:00〜19:00 内容:音楽LIVE、ランウェイショー、物販・ワークショップ、フード&ドリンク

スケジュール
11:00 開場 物販&カフェ スタート
14:00 うた絵本LIVE
15:00 アーティスト・トーク
16:00 YOYOKA & Ai Furusato Live 17:00 Share Me Runway
18:00 桑原美香 LIVE
19:00 終了
19:30 アフターパーティ

当日入場 3,500円 (現金)
前売りチケット 3,000円 は公式サイトにて販売

WEAVE!公式WEBサイト
https://sub.torico.me/p/weave

WEAVE!Instagram

あんずInstagram

荒牧しのぶ Instagram

WEAVE!2026 キービジュアル