文・写真:武者良太
完全ワイヤレスイヤホン業界が盛り上がっています。スマートフォンとの接続が簡単で、バッテリーの持ちも通信安定性も良くなり、日常的に使える製品が増えた結果、売れ行きが大幅に拡大。全米民生技術協会(Consumer Technology Association・CTA)のディレクター、Rick Kowalski氏のプレゼンによれば、2020年の完全ワイヤレスイヤホンの市場規模は2019年と比較して32%もの成長となりました。
この成長を牽引しているのはアップルです。AirPods、AirPods Proは世界中で大ブームとなっており、とにかく売れている。とことん売れている。あまりにも売れすぎて、偽物が嫌というほど製造されて流通されるくらいの大人気商品となっているのです。
その証拠にAmazonで「AirPods」「AirPods Pro」を探してみてください。そっくりなデザインなのに、価格があまりにも安くて評価の数も尋常ではなくなっているモドキが多数見つかりますから。
iPhone/Androidの2台持ちユーザーに使ってほしい
確かにAirPodsとAirPods Proは完成度の高いイヤホンです。特にAirPods Proはノイズキャンセリング機能が搭載され、電車のなかなどの騒々しい環境であっても快適なリスニングが楽しめます。
でも、割高さを感じるんですよね。
というのも2020年末にファーウェイがリリースした「HUAWEI FreeBuds Pro」の完成度が高いうえに、ショップによっては2万円を切る価格帯で販売しているから。このイヤホンは対アップル、対AirPods Proを想定して作られた(と思える)もので、ハイコスパな仕上がりとなっているのです。
現バージョンのiPhone用制御アプリは機能が制限されているため、Android環境でなければすべてのパフォーマンスを引き出せないのですが、いったんAndroidで設定してしまえば同じ効果をiPhoneでも利用できます。2台のスマホ、タブレット、PCへの同時接続機能もあるため、iPhone/Androidの2台持ちのユーザーにピッタリのイヤホンともいえます。
ストリーミングサウンドを気持ちよく聴かせてくれる
圧が...…! 低音がドンっ!とくる音圧がある! イヤホンなのに、身体全体に低音の響きが伝わるかのような勢いがあります。配信するすべての曲に対して、独自視点の音圧チューニングをおこなっているSpotifyやYouTube Musicをハックしたかの様子。ストリーミングサウンドを聴くと、気持ちがいいんですよ。11mmという大口径のダイナミックドライバーの存在が効いていますね。
しかし無闇に低音のボリュームを増やしたものではなく、ドラムやベースのタイトさも感じ取れるものでハイテンポな曲を聴いてもガチでノレます。
マッチするジャンルはなんといってもロックとポップス。解像度は控えめで細かな音は埋もれがちですけど、そのナローさが勢いの良さと組み合わさってライブハウスのような音が楽しめますね。
Zoomでもクラブハウスでも声の存在感が強い
といいつつも、「HUAWEI FreeBuds Pro」の一押しポイントはマイクです。
「HUAWEI FreeBuds Pro」を使ってZoomやMicrosoft Teamsでミーティングしていても、自分の声を確認できるわけではないので最初は気づきませんでした。しかしミーティング相手から「今日の声はハッキリしている」「滑舌がよく聴こえる」と聞いて、これは確かめるしかないぞ、と。
用意しました。「HUAWEI FreeBuds Pro」をはじめ、だいたい2万円台で販売されているマイク内蔵完全ワイヤレスイヤホンを5台ほど用意して友人宅に送り、Zoomとクラブハウスで試してみました。
……確かにいいじゃないですか、HUAWEI FreeBuds Proのマイク品質。イヤホン内蔵マイクのなかでは、明瞭な高音部と充実感ある低音部が組み合わさって、実像感がでてきます。特に、男性の声と合いますね。Zoomよりも音域幅が狭い・圧縮率が高いと思われるクラブハウスでも、マイク品質の良さが目立ちます。
これはユーザーの声を捉えるマイク用の穴の場所が適切かつ、面積が大きいことが理由だと思われます。
全部盛り仕様でこの価格は“買い”と言える
ノイズキャンセリングの効果も、ライバル機と同じくらい高めです。イヤーピースを固定するノズルが独自仕様で、ユニバーサルのイヤーピースを使って密着性を高め、音漏れを減らすことができないところは残念ですが、付属イヤーピースは耳穴への負担が低いもので、長時間の装着も可能です。
イヤホンとしての性能よし。コミュニケーションギアとしての性能よし。ノイズキャンセリングや外音取り込み機能もある。2021年現在の完全ワイヤレスイヤホンに求められる性能を備えたうえで2万円以下という価格は、かなりのお買い得品ですよ。