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文:山田山太
世界人口の増加に伴う食料危機や、環境問題などの対策として注目される代替肉。牛の飼育には多量のCO2排出が伴い、代替肉は地球温暖化を抑制する効果が期待されている。近年は本物の肉と判別がつかないレベルのものまで生まれてきているようだ。
そんな中、多くの社会問題の解決に熱心に取り組むことで知られるビル・ゲイツ氏が、代替肉にまつわるとある提言を行い、話題を集めている。
貧困国では代替肉は受け入れられない
ゲイツ氏は自身の新著『How to Avoid a Climate Disaster(気候災害を回避する方法)』についての『MITテクノロジーレビュー』の取材で、「食糧問題」について大きく言及した。その内容とは、経済的に豊かな先進国は、現在消費している牛肉を100%代替肉へと切り替えるべき、というものだった。
植物性の肉や培養肉が貧困国においても牛肉や豚肉の代わりとなりうるか、という質問に対してゲイツ氏は、現状の貧困国における畜産の状況を語る。「アフリカなどの貧しい国々の家畜牛は、アメリカのように効率化が進んでいないため、実はアメリカで牛肉1ポンドを生産するにあたって排出されるCO2の量はアフリカより圧倒的に少ないんです」とゲイツ氏。「そもそも世界の貧困国で、代替肉が普通に受け入れられるとは私は思いません」と明かした。
そして、ゲイツ氏は「私は豊かな国々の牛肉を100%代替肉に変えるべきです。味にはすぐに慣れますし、時間が経てばもっと美味しくなるはずです」と語り、「グリーンプレミアム(代替肉に移行するコスト)は控えめになり、人々の行動を変えたり、需要を変えるルール作りをすることは可能です」と持論を展開した。
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