働き方の多様性や柔軟性を認める時代となり、ここ数年、保守的な立場をとっていた多くの企業で副業を認める動きが増えている。
そこで、FINDERSではさまざまな副業をしながら活躍するビジネスパーソンに注目。
前回に引き続き、連載「超副業論!」にご登場いただいたのは、大手広告代理店に勤務しながら、世界中を旅する“リーマントラベラー”や“休み方研究家”として活動する東松寛文氏だ。
果たして、サラリーマンと両立させながら好きなことを仕事にできるのか? 仕事として成立するようになった経緯や本業とのバランスのとり方などについて、ご本人に話を伺った。
取材・文・構成:庄司真美 写真:赤井大佑
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東松寛文
広告代理店勤務、リーマントラベラー・休み方研究家
1987年岐阜県生まれ。神戸大学経営学部卒。平日は広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する"リーマントラベラー"。社会人3年目に旅に目覚め、7年間で70カ国159都市に渡航。2016年、3カ月で5大陸18カ国を制覇し、世界一周を達成。"週末海外"のスペシャリストとして『地球の歩き方』から旅のプロに選ばれる。以降、TV・新聞・雑誌などのメディア出演・執筆多数。全国各地で講演も実施。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。朝日新聞社にて「リーマントラベラーサロン」も主宰。
東松氏のYouTubeチャンネル「リーマントラベラー〜週末だけで世界一周〜」より。
3泊5日のLA弾丸旅行で得た大きな「気づき」
この一枚のNBAのチケットが東松氏が旅に目覚めるきっかけに。
―― 東松さんはそもそも旅好きで、学生時代にバックパッカーだったわけではないんですよね。 社会人になってから突然旅に目覚めたきっかけは?
東松:学生時代はアメフトに打ち込んでいたこともあって、そもそも旅行自体、興味がありませんでした。かろうじて卒業旅行でニューヨークなどに行ったのが最後で、社会人になってからは忙しくなり、次回はハネムーンまで行けないだろうな、くらいに思っていたんです。
ところが、社会人3年目に旅の機会が訪れました。僕はNBAが大好きで、ある日試合のチケット料金を調べたら、意外と安く取れることがわかりました。現地まで観に行くつもりはまるでなかったのですが、チケットを部屋に飾っておくだけでも仕事ががんばれると思い、チケットを購入することに。
手に入れたら今度はチケットがムダになるのがもったいなくなったものの、当時、部署で一番下っ端だったのでそう簡単に休みなんて取れません。それこそ辞表を出すような覚悟で、「小さい頃からNBAを観るのが夢だったんです」などと上司に必死に訴えました(笑)。
そして4連休に1日有休を付け付け足すかたちで、初の1人海外旅行となるLAに3泊5日で行くことになりました。
現地で観たNBAの試合。
―― 初の1人海外旅行はいかがでしたか?
東松:そこでは大きな気づきがたくさんありました。3泊5日は短かったけれど、十分楽しむことができたこと。それからカタコトの英語でもなんとかなること。
一番大きかったのは、価値観が変わったことですね。これまで、大人になると平日は朝から晩まで働き、日曜の夕方になると“サザエさん症候群”になるものだと思っていて、それに疑問を持つこともありませんでした。
ところがアメリカに行ったら、平日の真っ昼間からお酒を飲んでビーチでのんびりしている人がたくさんいて、NBAの試合にも大勢の大人がユニフォーム着用で観に来ていました。
「こんな大人もいるのか」と衝撃を受けて、世界には、僕の身の回りでは知らないことがたくさんあることを知ったのです。これを機に、もっといろんな国に行かないともったいないと思うようになりました。
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