文:ヤジマミユキ
イノベーティブなビジネスアイデアというのは、いつの時代も「あり得ない」と誰もが笑うようなことから生まれるもの。ひょんなことから思いついたサービスが、予想外の展開を巻き起こし、話題となっている。
コロナ禍でピンチの農場主が思いついた突拍子もないアイデア
ドット・マッカーシーさん(32歳)さんは、英国ランカシャー州で「クロンクショー・フォールド・ファーム」を営む農場主。約5年前に母親からこの事業を引き継いだ。農場はこれまで結婚式や社会科見学の受け入れなどで収益を補っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、予定されていたイベント事業はすべてキャンセルになってしまった。
苦境に立たされたマッカーシーさんはある突拍子もないアイデアを思い付く。それは、ヤギたちをオンライン会議「Zoom」に参加させるというサービスだ。イギリスがロックダウン中の2020年4月の夜、マッカーシーさんはこのサービスを、農場のホームページに掲載した。すると翌朝には、200通ものメールが殺到。Zoomに出席させたいというリクエスト寄せられたという。「みんなに笑ってもらおうと思って、ちょっとホームページに載せてみたんです」と、マッカーシーさんは後に『BBC』の取材に語っている。
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