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文:山田山太
本日午前、ファイザー製のワクチンを積んだ航空便が、日本に到着したと報じられた。来週以降、医療従事者向けの接種が始まる予定だ。しかし一方で、相次いでワクチンに対する不安を煽る記事が掲載され、非難が集中。未だ日本国内においては合意形成が進んでいないが現状だろう。
そんな中、インペリアル・カレッジ・ロンドンを中心とする世界16の研究グループが協力し、ワクチン接種による効果についての研究結果を、医学雑誌『Lancet』で発表した。
30年間で6900万人の命を救うワクチン
今回の研究では、98の低中所得国における、B型肝炎ウイルス、インフルエンザB型、ヒトパピローマウイルス、日本脳炎、麻疹、ナイセリア髄膜炎、肺炎球菌、ロタウイルス、風疹、黄熱病の10の病原体について、ワクチンを接種した場合と、しなかった場合、どのような影響がもたらされるのかを統計分析によって導き出した。
まず、先に上げた10の病原体へのワクチンの接種によって、どれだけの命が救われるか調査された。その結果、2000年から2019年にかけて、およそ3700万人がワクチンにより助けられたと推定。そして2000年から2030年にまで期間を伸ばすと、合計で6900万人も助けられたと推定された。
今回の研究の著者の一人であるインペリアル・カレッジ・ロンドンのケイティ・ゲイソープ博士は「ワクチン接種プログラムがなかった場合の死亡率がどれほど高くなるかを推定することで、高い接種率を維持することがいかに重要であるかを浮き彫りにしました」と語った。また、同じくニール・ファーガソン博士も「こういった予測を行うことで、ワクチン接種率を上げるためにどういった投資を行うべきか、洞察を得ることができました」と述べている。
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