文:滝水瞳
スポンサー資金を新型コロナウイルス対策に
世界が注目するアメリカンフットボールの祭典「スーパーボウル」が、まもなく米国で開催される。毎年世界中で1億人以上がテレビ視聴し、『Ad Age』によると30秒スポットCMは500万ドル程で販売。スポンサー各社による趣向を凝らしたCMは、スーパーボウルの名物の一つとなっている。
米国ビール会社のバドワイザーは、1983年からCM放映を行うスポンサーとして、スーパーボウルに欠かせない存在だ。ところが同社は今年、CM放映を見送ると大々的に発表した。同社のCMがスーパーボウルに登場しないのは37年ぶりとなる。
『CNBC』 によれば、バドワイザーは今回見送った放映の広告費を新型コロナウイルスの啓発活動に充てるほか、放映時間の一部を広告評議会などに寄付するという。
米疾病対策センター『CDC』の報告によると、米国内で新型コロナウイルスにより死亡した人はすでに40万人を超えている。一方で、ワクチン接種をした人口は連邦政府の目標を大きく下回り、新型コロナウイルスの感染を食い止めるには早急なワクチン接種が急がれる。今回のCM放映見送りは、こうした現状を打破しようとするバドワイザーの呼びかけとも捉えられる。
さらにバドワイザー同様、コカ・コーラ、アウディなども相次いでCM放映を見送ると発表。会場となるフロリダ州タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアムの入場は、新型コロナウイルスの感染防止のため、収容可能人数の約3分の1となる2万2000人に制限され、例年にはない雰囲気での開催となりそうだ。
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