ITEM | 2020/12/18

今こそ旅に出よう、イベントに行こう、そして人と語ろう(ただしVRで)。Oculus Quest2が作りだすあなたの“もう一つの生活”

文:武者良太
広大でバラエティ豊かなVRワールドで散策を
年末年始のGoToトラベルが停止となった。続く、新型コロナ...

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文:武者良太

広大でバラエティ豊かなVRワールドで散策を

年末年始のGoToトラベルが停止となった。続く、新型コロナウイルスの感染拡大状況を考えるに、然るべき策だと感じる。GoToトラベルによって感染が拡大したというエビデンスはないものの、人が広く移動することが、各地域の医療関係や自治体に負担をかけることになる可能性を捨てきれないからだ。

それじゃあ今年は帰省することなく、自宅で過ごそう。録り貯めているテレビ番組や、更新が進んでいるNetflixやAmazonプライムのドラマやアニメを観よう。もしくは桃鉄三昧だ。

とお考えの方に、1つ提案させていただきたい。「VR旅」という提案を。

PlayStarion5という超大型リリースが世界的に注目を集めたその陰で、実は「Oculus Quest 2」というVR機器もリリースされていたのをご存知だろうか? 内部にハイエンドスマートフォンのSoCが入っている、単体で動作可能なVRヘッドセット。これ1つがディスプレイ・スピーカー・マイクを内蔵したゲーム機だと捉えるとわかりやすいだろうか。Qculus Questストアで専用アプリをインストールすれば、すぐに、バーチャルな3次元空間の中で自由に動き、遊び、戦い、コミュニケーションをとることができるようになる。

既存のゲーム機などとの大きな違いは没入感だ。ゴーグルタイプで周囲の視界をシャットアウト。まるで映画館にいるかのように、眼前に広大なVR空間だけが表示される。首を動かせば上下左右を見渡すことができて、後ろにターンすれば振り返る。手を動かすと画面内のポインターも連動して動き、VR空間内のオブジェクトを掴んで、投げることだってできる。

グラフィックの解像度はPS5はもちろんのこと、PS4にも及ばない。2019年リリースのOculus Questより改善されたが、まだまだCGっぽさが濃厚だ。

しかし、ハマる。コンテンツの画面しか見えないということが、没入感をMAXに高めてくれるのだ。

ジョギングと同じくらいの運動量となる「ビートセイバー」、3vs3のバトルロイヤルで生き残りをかけて競い合うVR版フォートナイトとも名高い「ポピュレーション:ワン」、ジェダイの騎士となってスターウォーズの世界に入り込める「Vader Immortal:エピソード1」などなど、魅力的なアプリも多い。本体にマイクが内蔵されているから、ゲーム中もお互いに声をかけられる。(まあ「ポピュレーション:ワン」のようにリリースしたばかりで英語圏のプレーヤーが多いアプリだと、まず日本語でしゃべるプレーヤーとはマッチできないのだが)。

「Vader Immortal:エピソード1」

コミュニケーションツールとして真価を発揮

コミュニケーションツールとしてもOculus Quest 2は非常に優れている。正確に言えば、「VRChat」というアプリが優れているというべきか。

「VRChat」はその名のとおり、VRのチャットアプリだ。VR空間内に入り込み、好きなアバターを身にまとって、同じ空間にいる他のアバターたちと会話を楽しめるというもの。NPCやbotは基本的に存在せず、ネームタグがあるアバターは全員人間だと考えていい。映画の「レディ・プレイヤー1」や、アニメの「ソードアート・オンライン」「サマーウォーズ」のように、誰もが3D CGキャラの衣装をまとっている空間といえば、想像しやすいだろうか。

【解説動画】VRChatの遊び方!VRChatってどんな楽しいことが出来るの?

リアルな動物アバターを着ている女性もいれば、超巨大なロボットアバターで僕らを見下ろしている外国人、美少女のアバターを選んだ男性もいる。かく言う僕は、ムッキムキのケモナーな男アバターを購入した(そう、アバターは購入できるのだ。無料のアバターもたくさん存在するが、完成度は有料版の方が上だ)。

そして用意されたVR世界=ワールドも多種多様だ。開放感たっぷりでリラックスできる海辺。初めて訪れたのに懐かしさしかない田舎のおばあちゃん家。暗がりの中で突然聞こえてくる歌と、同時に目の前に歌詞が浮かびあがる、まるでミュージックビデオの世界のようなワールドも存在する。他にも、人狼やオセロといったゲームが楽しめるワールドも多くある。

訪れるべき美しいVRChatワールド5選(5 Beautiful VRChat Worlds You Need to Visit)」

11月22日にはVeats SHIBUYAをVR空間内に再現したワールドでのVRライブにカメラマンとして参加して、撮影を手伝った。演者とオーディエンスだけではなく、スタッフとしても気軽に参加できるのがVRChatの良いところではないか、と感じている。

こういったVRの世界の、最も手軽なパスポートがOculus Quest 2だ。価格は64GBストレージのモデルで3万7100円。税込み、送料込みでこのプライスだ。

前述したが、Oculus Quest 2はディスプレイ、スピーカー、マイクが組み込まれているオールインワンなデバイス。装着感を高めるオプションなどで盛ることはできるが、この価格からVRをじっくり楽しめるものだと判断してほしい。

単体で動作可能なVRヘッドセットが世の中にほとんど存在しないため、Oculus Quest 2を相対的に評価することはまだ難しい。標準状態ではゴーグル部がズレやすい。視点・視野のセッティングを詰めないとVR酔いしやすい。重い。バッテリー切れが早い。など、ネガティブな言い方が増えてしまう。

それでも改めて書こう。"単体で動作可能なVRヘッドセットが世の中にほとんど存在しないため"Oculus Quest 2こそが初めてのVRに最高のデバイスであることに間違いはない。

ハイスペックなGPUとCPUを搭載したゲーミングPCを持っている人にもぜひ試して欲しい。USB Type-CケーブルでWindows PCと接続すると、バーチャルデスクトップアプリでPC版のVRアプリが動くようになるのだから。同じVRChatのアプリにしても、多くのメモリが使えるPC版は見え方がまるで違う。いままでロボットのように表示されていたアバターは、実は細部まで作り込まれた美麗アバターだということがわかるし、旅立てるワールドの数もグッと増える(Oculus Quest/Oculus Quest 2対応アバターのワールドの数はまだ限られている)。

本物以上に美しいと感じるウユニ湖の「UyuniSaltLake」、富士山を眺めながら露天風呂に入れる「Mount Fuji open air bath」。美しい海にダイビングして自由に泳ぎまくる魚を眺められる「Deep Blue」もおすすめだし、新宿・歌舞伎町のゴールデン街をモチーフにした「ポピー横丁」では、夜な夜な雑談をしたい日本人と観光したい外国人が集っている。

VRの1歩目がOculus Quest 2だとしたら、ゲーミングPC+Oculus Quest 2は、VRの10歩目くらいに感じるほど、一気にできることが増えていく。

次ページ:世界的なVRイベントにも自宅から参加

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