EVENT | 2020/12/15

1万円からバンクシーやウォーホル、草間彌生ら超ビッグネームの作品オーナーに。ANDARTが見据える「誰もが気軽にアートを買う」未来【ビジネスとアート、アートのビジネス(2)】

第1回「創業から20年。「スマイルズのアーティスティックな事業」はなぜ生き残ってこれたのか。遠山正道インタビュー」はこち...

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アートの見方を鍛えるには、まず買ってみること

2019年に表参道で行われた展示イベントの様子。300人以上が来場し、ANDARTでオーナー権を販売するアンディ・ウォーホル、KAWS、名和晃平などの作品の鑑賞だけでなくアーティストのパフォーマンスや投資をテーマとしたアートセミナーなどが展開された

―― この記事の読者の中にも、アートの知識はあまりなくても興味はある、という人もたくさんいると思います。そんな人が現代アートの魅力を知るための気軽な入口って何が考えられますか?

松園:アートへの関与を持つことが一番大切だと思っています。アートに対して今なぜここまで市場がニッチなのかというと、「敷居が高い」という固定観念が邪魔をしているんだと思うんです。そこを打破するのは本当に簡単で、強い関与を持つこと。

それにはまず手に届く範囲で、気になった作品を買ってみることだと思います。少し乱暴に聞こえるかもしれないですが、人間関係もそうじゃないですか。見たことがあるぐらいの関係性の人がいたとして「あの人、知り合い?」と聞かれても答えにくい。一度食事をしてみたり、深く関わる手段に飛び込んでみたりすることが一番早いと思っていて。

関与することで初めて湧く感情もたくさんあります。なぜ自分が買ったのか、それを感じてどうだったかという感想が生まれたり、より興味がわいてくることがすごく重要だと思っています。ANDARTプラットフォームが1万円から購入いただけるようにしたのもそういう意図があります。そして、アートは、一度きっかけがあると本当に多くの人が深くハマります(笑)。

改めて、アートに正解はない。これは確実で、アートを高尚なものと捉えすぎず、まずは自分が関与したもの、縁があった目の前の作品と向き合ってみること、自然と生まれる好きを大切に広げていけるといいと思います。

―― 世界中のすべての作品を見ることは誰にもできないでしょうし、それで尻込みしてしまう前にまずは目の前の好きを大切にしよう、ということですね。

松園:無理ですよね。だからこそ、もっともっとアートに対して自由に感想を言える環境をみんなでつくっていかないといけないだろうと思っています。分からないものは一生分からなくてもいい。だけど、10の作品に関与したら、そのうちの1つはお気に入りになるかもしれない。作品のメッセージ性が良いとか、そのアーティストの生き方が刺さるとか、単純に見ていて何か気になる、好きだという視覚、感覚的な反応……アートを気に入る瞬間は人それぞれで良いと思うんです。

―― ローンチから約1年が経過し、オーナー権の売買テストも始まったと聞きました。どんな風に取引が進んでいるのでしょうか?

松園:10月から一部の作品を対象にテストベータの状態で売買サービスを開始しました。

現時点では150件以上の売買が成立しています。第一段階として、オーナー同士が自由に売買できるマーケットプレイス型ではなく、先に購入希望者の「この値段で欲しい」という注文を受け付け、保有者に「購入希望が来ています」という通知が行く流れです。

また、弊社が保有している作品本体も頻繁に売買するわけではありません。作品や作家へのリスペクトは損なわず、個人の権利の流動性を健全に創出するマーケットプレイスを目指しています。

アートの評価を多様化して、パトロンを増やしていく

―― ANDARTの今後の展望についてお聞きしたいです。

松園:小口会員権プラットフォーム「ANDART」、EC「YOU ANDART」を軸にしながら、個人のアートとの関与をより高めるさまざまなプロジェクトを起こしていきます。共同保有作品の展示は新型コロナウイルス拡大の影響でストップしてしまっているのですが、来年を目途に再開させたいと動いていますし。またYOU ANDARTでは代官山にあるクリエイターによるファッションやアートなどの体験型ストア「UP SIDE DOWN Gallery」と協力し、独自キュレーションによる3日間のグループ展示「SENSE」を実施しました。

ANDARTはアートに興味がある人たちが広く集まる場にして、多くの人の新たな経済圏を通すことで評価が民主化されていき、アーティストの価値がうまく広がっていくことも目指していきたいと思っています。

また、社内体制もどんどん強化していきたく、本気で世界のスタンダードを創りにいく第二創業メンバーを探しています。

エンジニアもデザイナーもビジネスデベロップメント担当も幅広く大募集中です!


第1回「創業から20年。「スマイルズのアーティスティックな事業」はなぜ生き残ってこれたのか。遠山正道インタビュー」はこちら

第3回「ハーバード卒の現役アーティストが「アートのデジタル化」「新大久保のアートスペース」事業を開始する意味。アマトリウム株式会社・丹原健翔インタビュー」はこちら

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