同じ病気を抱える人に伝えたい、不可能はないということ
クリスさんがトレーニングを続けた理由の一つに、他のダウン症で苦しむ人に、色んな可能性があることを伝えられるからだという。激しいトレーニングを続けるクリスさんの姿は、他のダウン症の子どもを持つ親から、「子どもにとってのヒーロー」と言われているという。このことに対してクリスさんは、「それはとっても素晴らしいことだよね」と話す。
また、クリスさんの父親、ニックさんもこの考えに共感している。彼が生まれたとき、医者をはじめ、多くの人が 彼の両親に対して、彼ができないことや、これから待ち受ける困難についての話をしてきたという。しかし、ニックさんはクリスさんができることを通して、多くの人々に新たな扉を提供できると考えている。
ニックさんは、「我々の願いは、息子が何千人もの親たちに、彼らの子どもたちを違った目で見てもらうためのきっかけを与えることです」と語り、クリスさんがダウン症を持つ人の背中を押す役割を担うことを期待している。
クリスさんのような人々の働きかけで、ダウン症を抱える人々、その家族がより前向きに生きられる世の中になってきていると感じる。ダウン症の人がモデルや役者として活躍する場面を目にすることが増えてきた。病気や障害を抱えている人が、フィールドを問わず、自らの可能性を最大限発揮できるより良い社会を作るため、互いを知り、認め合う心を大切にしていきたい。