文:武者良太
リアルタイムで匿名通報。早期解決の手助けになるか
文部科学省初等中等教育局児童生徒課の調査によると、平成29年度のいじめ認知件数は小学校、中学校、高校、特別支援学校を含め、計41万4378件になったという。
あくまで認知件数だということに留意していただきたい。裏サイトなどクローズドな場所での誹謗中傷書き込み、オープンな場での個人情報暴露、怪しげなサービスに勝手に登録されるといった、インターネットのサービスを用いたネットいじめなど、可視化されにくいいじめを含めたら、さらに膨大な数となるだろう。
この多大ないじめ問題に対して、投稿モニタリングやネットいじめ対策事業を展開するアディッシュは、「スクールサイン」といういじめ匿名連絡サイトを運営している。学校単位、自治体単位での契約が必要となるが、導入されている学校の生徒や関係者はウェブサイトからいじめ・ネットいじめの報告ができるようになっている。
いじめそのものの報告はもちろんのこと、「最近◯◯さんの様子がおかしい」と言ったいじめの予兆となり得る情報も受け付けている。
従来のいじめ調査はアンケートや戸別訪問による聞き取りが中心だったが、これでは情報の取りこぼしが多い。スクールサインは匿名で、しかもスマートフォンから報告できるシステムゆえ、自治体の教育委員会や学校がリアルタイムな状況をつかみやすい。またサーバー上に情報が残るため、見落としも少なくなるのではという期待感もある。
現在は全国約200校(公立・私立中高)に導入済みで、約10万人の中高生が使用している。2020年度には海外展開を推進するとのことだ。