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文:佐郷顕
決して他人事とは言えない程、よく耳にするようになった家庭内暴力、いわゆるDV。警察庁によると、昨年のDV被害件数は7万2455件にも上った。
もし自分や身の周りの人たちがDV被害に遭った時、どのように対処すればいいのだろうか? DV被害があった時に緊急的に保護してくれる「母子生活支援施設」が、SNS上で注目を集めている。
DV被害者のための施設の周知を
「そういう施設(母子生活支援施設)の存在をもっと周知して欲しい」とTwitterに投稿したのは、この施設の元職員。DV被害に遭った母と子どもが、この施設に身一つで来たとしてもしっかりと衣食住を保障して守ってくれるという。
この投稿者の働いていた施設では「緊急一時保護」として、食事、衣料品、子どものおむつなどが支給され、金銭的負担はなし。警備サービスの導入や職員の常駐によりDVの加害者が追いかけてきても入ることはできず安心だと訴えた。
9月4日に投稿されたこのツイートは現在5万6000件のリツイートを記録し、「女子トイレに貼っておいた方がいい」「マスコミも広く伝えていくべき」「自分も施設に入っていた」「被害に遭っていた知り合いを連れて行った」などの多くの共感のコメントが寄せられた。
施設入所者の2人に1人がDV被害者
母子生活支援施設とは児童福祉法に基づいて運営されている施設。18歳未満の子どもを養育している母子家庭の女性が、生活の自立を目指して子どもと一緒に利用することが出来る。現在、全国に232カ所あり、3330世帯が入所している。
全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会によると、元々は生活に困窮する母子家庭の生活支援や子育て相談・支援のための施設だったが、平成16年に改正された「改正DV法」によって、DV被害からの緊急一時保護先としても重要な位置づけの場所となった。入所者全体の半数以上にあたる56.6%もの入所者がDV被害者だ。
この施設には、母子は独立した部屋で生活することが出来、仕事や育児などについて相談できる職員が滞在している。また、保育や自立に向けた支援計画の共同作成などさまざまなサービスが提供されており、DV被害者にとって頼りになる駆け込み寺と言えるだろう。
施設を継続的に利用する場合は所得税や住民税に応じて利用料がかかるが、「緊急一時保護」として入所する場合は利用料が極めて安価、あるいは無料のケースもあるようだ。
DV被害自体を減らすことが第一の課題ではあるが、もし被害に遭ってしまった場合はすぐにでも母子生活支援施設に助けを求め、自らの身を守ることを最優先に考えてもらいたい。