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文:山田山太
いざという時に人命を救うことができるAED(自動体外式除細動器)。最近では役所や商業施設、学校など街中のあらゆる場所で見かけるようになってきた。
しかしAEDは2枚の電極パッドを上半身の胸部と腹部に貼る必要があるため、自分が処置を受けることになった場合、抵抗感を抱く人もいるようだ。
フィリップスのアンケート結果がSNS上で大論争に
フィリップスが行ったAED使用時のプライバシーに関するアンケート調査によると、「AEDを使うために異性に衣服を脱がされること」について、女性の合計86%が不快感、もしくは抵抗感を感じると回答したのだ。
この調査結果をまとめたニュースサイトの記事をシェアした高須クリニックの高須克弥院長は、「この日本人女性たちはバッカじゃないか。まず感謝だろ?」と自身のTwitterで怒りをあらわにした。
8月13日に投稿したこのツイートは、現在1万9000件のリツイートを超え、「処置のために脱がされるくらいなら、死を選ぶと」「私も女性だけど、生命に関わるときには男女関係ない」という賛同のコメントも寄せられた。一方で「男性だって下腹部を晒す必要があると言われたら抵抗感くらいは持つだろう」といった冷静な声も挙がった。
AEDの異性への使用で、訴えられるリスクはない
一方で上記のアンケートによると、AEDを使用し救助する立場になり、相手の異性で上半身の衣服を脱がせなければならなくなった時、感じる抵抗感に男女で大きな差が出た。抵抗があると回答した女性が25%だったのに対し、男性は61%と大きく上回った。
この中には、抵抗感があると答えた理由として、「後で回復した傷病者からプライバシー配慮不足で訴えられるのが怖い」と回答した人も一定数存在した。
しかし厚生労働省は、人命救助のためのAED使用は刑事罰、民事罰ともに「原則として免責される」という方針を打ち出している。
もし心肺停止してしまった人がいたら、まずはその場の人たちで、できる限り対応しなければならない。なぜなら心肺停止時から5分以内のAEDによる電気ショックで蘇生率は50%。5分経過後、そこから1分をすぎるごとに蘇生率は10%ずつ下がっていくと言われているからだ。
命を救うことにためらいは不要。もし近くに助けを必要とする人がいた場合は、その他のことは気にすることなく、自分のできる範囲で救助にあたってもらいたい。